25話目 猛獣使い
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「あの、右手の……小指はどうしたんですか?」
サンヨウの右手には、指が4本しか存在しなかった。本来は小指が位置する部分には、指の代わりに痛々しい傷があった。
「右手の小指はね、ポケモンに噛み千切られちゃったのよ」
サンヨウはそう明るく答えた。
「その手の傷、隠したりはしないんですか?」
「本当なら隠すのが良いんだろうけどね。私は猛獣使いのジムリーダーとして、ポケモンは時に人を傷つける場合があるって事を伝えなきゃと思ってね! もちろん人とポケモンは互いに助け合う存在さね。でも、ポケモンは人にとって危険な存在という側面もあることを伝えたい訳よ」
サンヨウのその言葉を聞きながら、グレイは自分のポケモンがもつ脅威について何となく考える。
(オレがKKに噛み殺される場面は簡単に思いつくけど……よく考えればビビだって“むしのさざめき”で岩を砕けるんだもんな。ビビがふざけてオレに軽く攻撃しただけで、オレは命に関わるんだよな……)
真剣な顔で考え込むグレイに、サンヨウが声をかける。
「でもねえ、ポケモンを怖がっちゃダメなのよ。ポケモンを怖がっていたらポケモンに舐められちゃうからね! どんな怖いポケモンでもかわいいと思えるくらいの度胸と余裕を持つことが大事さね! さあ、さっさとバトルしちゃおうか?」
「さあ、私の1体目のポケモンはこの子だよ!」
そう言い、ジムリーダーのサンヨウは、カエンジシを繰り出した。
カエンジシは、炎タイプかつノーマルタイプの、おうじゃポケモンである。四足歩行でライオンのような姿をしており、体は黒色や茶色で、首周りは炎のような立派な鬣で覆われている。
グレイは知らない事であるが、カエンジシというポケモンは、♂の個体は首周りに立派な鬣をもち、♀の個体は頭から長く伸びた鬣をもつ。ジムリーダーのサンヨウが繰り出したカエンジシは首周りに鬣をもつ個体であるため、性別は♂である。
グレイは、サンヨウが繰り出したカエンジシを見ながら考える。
(明らかに炎タイプな見た目だよな。だったら水タイプのKKが有利だな)
グレイはモンスターボールを取り出し、ギャラドスを出した。
現れたギャラドスは圧倒的なオーラと鋭い目つきによってカエンジシを威嚇し、カエンジシの攻撃力を下げた。
さて、今まで様々なトレーナーと道端でバトルを重ねてきたグレイは、慣れた手つきでポケモンを繰り出してバトルを始めようとしていた。しかし、ここでグレイはある事に気がつく。
(あれ? これってジム戦だよな……? オレって戦わせるポケモン決めたっけ?)
サンヨウは先ほど、『ルールは3対3のシングルバトル』と言った。当然、戦いに参加するポケモンの数は、それぞれの側で3体ずつということになる。
現在サンヨウが身につ
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