暁 〜小説投稿サイト〜
トラベル・トラベル・ポケモン世界
25話目 猛獣使い
[17/20]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 グレイの指示により、ビビヨンはバトルフィールドの壁際まで後退してレパルダスとの距離をとった。
「壁際に逃げたって無駄さ! フィールドの端なんかじゃ、これ以上の逃げ場は無いからねえ!」
 サンヨウの言葉を無視し、グレイは指示を続ける。
「ビビ、狙撃!」
「“おんがえし”で防ぐ! そして近づきなブドウちゃん!」
 ビビヨンから発射される“むしのさざめき”は、やはりレパルダスの“おんがえし”によって防がれる。
 互いに攻撃技を使った直後、レパルダスは素早くビビヨンの方へ走り、距離を詰めた。



****



 壁際のビビヨンがレパルダスの進攻を止めるために“むしのさざめき”を発射するが、その度にレパルダスは“おんがえし”でそれを防いだ。
(まだ育成途中で未熟とは言え、やっぱりグレイちゃんには強すぎたかねえ? ブドウちゃんを戦わせたのはマズかったかも知れないねえ……)
 サンヨウは目の前の状況を見ながらそう思った。
 ついにレパルダスはビビヨンに接近し、ビビヨンを完全に追い詰めた。
(これで“みだれひっかき”で詰みだね。……1発ごとにそれなりの威力がある引っ掻き攻撃が連続で放たれる。しかもブドウちゃんはそれを2倍の手数で放てるんだ。……例えグレイちゃんのビビヨンが“むしのさざめき”で抵抗したとしても延命にしかならないねえ。……でも、手を抜くつもりはないさ。全力でグレイちゃんのビビヨンを潰しにいくとしようかね)
 ここでサンヨウは、バトルの最後にグレイがどのような態度でどのような指示をするか注意深く見ることにした。
 グレイに限った話ではない。全ての挑戦者に対してサンヨウは、バトルで負けが決まった時にトレーナーがどのような指示を出すのか注意深く見ることにしていた。
(“むしのさざめき”で“みだれひっかき”に抵抗して、少しでも戦う時間を長くする努力をするかい? あるいは奇跡を信じて、普通では絶対にやらないような突拍子もない指示をするかい? それとも素直に負けを認めて、もう何も指示をしないかい? グレイちゃんはどれなんだろうねえ……?)
 その選択に優劣は無く、どの選択が良い悪いという話でもない。しかし、どれを選んだかによって、このポケモンバトルをどのように解釈しているのか分かることもある。
 ポケモンバトルが絆を深める儀式と考える者ならば、例え勝てなくても少しでも長く戦う努力をするかも知れない。あるいは楽しむ場と考える者ならば、最後に突拍子もないことを試すかも知れない。勝利を求める者ならば、勝つ見込みのないバトルに指示することを無駄と考えるかも知れない。
「さあブドウちゃん、“みだれひっかき”だよ!」
 指示したサンヨウは、グレイの下す指示を注意深く聞いていた。
「ビビ、混乱させろ! “サイケこうせん”だ!
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ