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マクロスフロンティア【YATAGARASU of the learning wing】
黄昏
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「それとランカの容態だが……」

ランカ?彼女がどうしたんだ?

「どうやら例の記憶障害に関係してるらしいな。気を失っただけで脳に異常は無いから今日にでも帰すつもりだ。」

トラウマ……まさか?

「オズマ少佐、見られたんですか?」

「…………らしいな。」

ランカの記憶障害はPTSDに代表される過去のストレスを反復することによって発生するものだ。ランカの過去……つまり、11年前のあの事件を連想させるものを引き金にフラッシュバックが起こる。

例えば……VFが撃墜されるシーンや、親しい者の怪我や死。

………幼い精神であの地獄を直視したのだ。障害が出ない方がおかしい。

「おい、あの子が記憶障害ってどういうことだ?一体過去に何があったんだ?」

「知らない方がいいぞ。……誰も得しない真実ってのは、この世の中には腐るほどある。」

オズマ少佐に食って掛かるアルトに一応忠告する。……言っても聞かないだろうが。

「……聞いたら戻れないぞ?」

「構わない。俺なら、傷付いてでも真実が知りたい。」

はぁ……やっぱりな。頑固と言うか話を聞かないと言うか………まあ、俺がごちゃごちゃ言わなくてもミシェル辺りが言うだろうな。

「……24時間猶予をやる。もう一度考え直して来い。」

24時間……ギリアム大尉の葬式の後まで……か。










「ねぇ翼?」

「何だ?」

人工の夕焼けが射し込むアイランド1。病院の屋上にはに誰かいる筈もなく、俺と奏の二人だけが、頭上を覆うドームの向こうの、星の大河を眺めている。

「翼はさ……怖く、ないの?」

「怖く?」

「うん………私、とっても怖かった。翼が出撃するって言った時も、アイランド1に化け物が入って来た時も………翼が怪我したって聞いた時も。」

話す奏の澄んだ声が震え、怯えるように自分の体を抱く。

「今だって……次は駄目かもしれない、次は翼が死んじゃうかもしれない!………って、とても……とても怖いの。」

普段は滅多に見せない弱気な奏。瞳に涙を溜め、消えてしまいそうな程か細い声で言葉を紡ぐ。

「ねぇ翼、翼は怖くないの?教えて……」

ゆっくりとこちらに向き直り、弱々しく俺を見上げてくる。

………後になって、自分の行動を思い出したら恥ずかしくて死にそうになったのだが、この時は不思議と、こうしたい、こうするべきだと思った。

奏に近付き、その背に腕を回す。突然の事で驚いたのか身を固くするが、それも一瞬の事だった。

「っ……翼!?いきなり……」

「……俺だって怖いさ。」

「……え?」

「バルキリー乗りは常に死と隣合わせだ。死ぬのが怖くない、死を恐れ
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