暁 〜小説投稿サイト〜
黒川暗子の怪人事情
正義は辛いよ
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き
「そういえばあなた名前は?」

初めて出会った日 彼はただK.Aと名乗った
何かのイニシャルかもしれないしコードネームかもしれない

正直かなり混乱していたのでそのまま彼がヒーローデビューした時の名前もK.Aにしてしまったのだ
いつもキミとかあなたと呼んでいるので支障はなかったがやはり名前を知っていたい
それだけでも記事になる

それに対して彼はぼそっと

「K.Aです」

とだけ言った

大丈夫、その返答は十分想定内だ

「何かの略称なのかな?」

「俺に力と目的をくれた人がくれた名前のイニシャルです……大体みんなイニシャルで呼んでました」

これは興味深い、本来『ヒーロー』を支える企業は『ヒーロー』が使う変身道具や武器の開発をしている
だが文乃の会社は雑誌を売ってきただけなのでそんな技術も持っていないし外部から人材を集めるような金もコネもない

K.Aは初めて会った時から戦うための能力をすべて持っていたのにサポーターが居なかったのだ
それも変身を必要としない特殊な力を持っていた

当然変身しないからと言って今目の前にいる彼がその姿のまま戦うわけではなく戦う時はその姿を変えるがその都度戦う相手に合わせて場合によっては戦闘中に更に変化を重ねて強くなっていくのだ
だがその姿の変化スピードは怪人が人の擬態を解除して真の姿を現す時と同じほど早い

その上ヒーローと同じく戦闘中に怪人の能力に対応する変化がある
これは今までのヒーローにはない新たな強さだ

是非とも力を彼に与えた人を教えてほしい
これは全人類の願いだろう

「その人は今どこに?」

声が震えないように細心の注意を払う

様子はおかしくないか?
いつも通り仕事がばっちりこなせてクールでありながら優しく料理上手なサポーターのお姉さんと思われている?

「その人は…………わかりません」

少し間を置いてわからないと答えたが今のは何か知ってはいるのにわからないと言ったように見える
まだそこまでは踏み込むことはできないか

「あー、なんだかごめんね。それで君の名前は?」

機嫌を悪くされて企業との付き合いをやめられたら間違いなくクビになる
文乃としてもそれは避けたいのでここは当初の目的通り名前を聞くことにした

「俺の名前は……黒川暗吾です」


























巷で超人気『ヒーロー』K.Aこと黒川暗吾は悪の組織『ショータイム』大幹部マッドアルケミストこと黒川暗子が作りだした超英雄薬を投与された元人間 現怪人である

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ