一章 小さき魔物 - 海竜と共生する都市イストポート -
第7話 戯れる子供たち
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の声がした。かなり幼い声だ。
二人が振り向くと、赤い髪の小さな少女を先頭に、子供たちのグループが現れた。
人数は、六人。
シーサーペントの子供が、その少女たちのほうに移動していく。
少女は「ごめんきょうはおそくなっちゃった」と言って、満面の笑みで抱きかかえる。
他の子供たちもそれを取り囲んだ。
「君たちはこの子を知っているんだ?」
「うん! ピヨピヨはいつもわたしたちがここにくると出てきてくれるの」
「ピヨピヨってのは名前?」
「うん。ピヨってなくからピヨピヨ」
どうやら勝手に名づけられてしまったらしいピヨピヨ。
その少女の高級そうなチェック柄ワンピースを上に登っていき、ポニーテールの赤髪を巻き込まないよう器用に肩首に巻きつく。
そして少女の顔をペロリと一回舐めた。
他の子供たちもピヨピヨに手を伸ばすと、それに応えて舌を出していく。
「よく懐いてるね」
「まえからともだちだから! でもおねえさんとおにいさんのこともすきみたいだよ」
「どうしてわかるんだい?」
「ふだんはわたしたちいがいの人にはよっていかないから」
「わたしたち好かれたみたいだよ。シドウ」
「嫌われるよりはいいかな? でも、こうやって遊んでいて、ピヨピヨの親が出てきてしまったりはしないのかな?」
「たまにのぞいてくる! すごくでかいよ! さいきんはあまりこないけど」
「あははっ。じゃあ親公認の関係なんだ? いいなーそういうの!」
楽しそうにそう言うティア。
シドウはその横で、やはりシーサーペントは賢い動物なのだと感心していた。自分の子供が楽しんでいること、この人間の子供たちが危害を加える存在ではないことがわかっているのだ。
「あ! もうすぐ日がくれちゃう。きたばかりだけどかえるね!」
少女がそう言ってピヨピヨを下ろした。
他の子供たちも交代交代で頭を撫でて、愛くるしい姿のモンスターの子供に別れの挨拶をする。
シドウとティアは、その光景を見て自然と表情が緩んだ。
そして二人で、子供たちに「気をつけて」と声をかける。
「うん! かっこいいかっこうのおねえさんも、ビンボーくさいかっこうのおにいさんも、またね!」
子供たちはあっという間に消えていった。
「……」
「うふふっ、子供はハッキリ言うね。シドウ」
「ということはティアも子供なんだ?」
シドウは肘打ちされた。
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