一章 小さき魔物 - 海竜と共生する都市イストポート -
第7話 戯れる子供たち
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など、様々なメリットがあるとされている。
厳重に留められている大小さまざまな船。さらには、自警団と思われる武装集団。シドウの目には、ずいぶんな緊張感であるように映った。
が、もう時間帯は夕方近く。
まあそんなものだろうか? と思いながら、歩き続けた。
そのまま河口まで行き、浜に出た。
右手には遠くまで浜が広がり、左手には河口、そして正面にはひたすら海。
既に日没が近づいているためか、近くに人の姿は見当たらない。
少しだけオレンジがかかってきている日差しを背に、二人並んで、膝を抱えるようにして砂浜に座った。
「ふー、風が気持ちいい」
座るなりそう言うティアの顔色は、すでにだいぶ良くなっているようだった。
潮の香りが混じるこの風は、体調回復のさらなる後押しをしてくれそうだ。
「背中ぁ」
「背中がどうしたの」
「さすってー」
シドウは言われたとおりに背中をさすった。
「はぁー」
ティアが声を漏らす。シドウは視線を前方に戻した。
「ティア」
「なにー?」
「俺に対する君の反応は、一般的……なのかな」
「なんでそんなこと聞くのー?」
「前に言ったとおり、母さんや父さんからは、別に俺が半分ドラゴンであることを秘密にしろとは言われていないんだ。大した問題にならないのであれば、ギルドに出自を言ってしまったほうが、この先を考えると色々楽なのかなと」
シドウからすれば、身内や師匠以外で初めてまともに出自を知られた相手がティアだった。
その彼女が意外にも普通だったので、そのような提案をしたのだが……。
「うーん。まだやめといたほうがいいんじゃないの?」
あっさりと止められてしまった。
「どうして?」
「ドラゴンはモンスターでも一番ヤバかったわけだし、やっぱり怖いものだと思ってる人が多いんじゃない? シドウの一家のことがもっと詳しく知れ渡っていればいいんだけど、まだそこまでじゃないみたいだし。
まー、いちおう冒険者ギルドで少し噂にはなってたことはあるけど……いきなりシドウが『自分はドラゴンの子です』なんて言って変身したら騒ぎになると思うよ?」
「やっぱりそうか」
「シドウのお母さんがもっと有名になったら言えばいいじゃない」
「もっと有名に、か……」
シドウの母親は、山に一番近いぺザルの町では『山神様』ということになってしまっている。普段は町の代表団が定期的に挨拶に来る程度にしか交流がない。
ぺザルが大陸最南端の田舎であることを考えると、シドウの母親の存在や性質が広く認知されるには、まだまだ時間がかかるだろう。
やはり自分の出自は当分秘密か。
シドウがそのように頭の中をまとめたとき……
突然
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