British Rhapsody 〜赤城〜
Apology and Greeting
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「……」
『日本に渡って間もないときは、『早く戻りたい』ってずっと言ってたもんね。敵も味方も上官も敵だらけだって、ずっと嘆いてたもんね。姉さんはね。とっても心配してたんだよー?』
「……すみません」
『……そんなロドニーが、今は『帰りたくない』って言うぐらいだから……今いるチンちゅフは、きっと友達がたくさんいて、のびのびと生活できる、いいところなんだね』
「その通りです……姉さん……」
『よかった……ロドニーはちゃんと、ホームを見つけられたんだね』
「はい。……姉さん、私のホームはここです……この鎮守府です」
『よかったね。ロドニーのホームが、そのチンちゅフで』
「はい……ぐすっ……」
『うんうん』
画面をじっと見つめるロドニーさんと、そのロドニーさんを、目尻をさげた嬉しそうな眼差しで見つめる、画面の中のお姉さん。彼女をずっと心配していたお姉さんは、きっとうれしかったはずだ。永田町でつらい日々を送っていたロドニーさんが、本国の帰還命令に対して『まだ帰りたくない』と抵抗したことを。たとえ本国から遠く離れた土地とはいえ、ロドニーさんが、自分が帰るべき場所を見つけたということを、きっとお姉さんは喜んだはずだ。
うれしそうに何度もうんうんとうなずいた後、お姉さんは一度画面の外に出た。ガタガタという音のあと、再び画面に姿を見せるお姉さん。黒い軍帽をかぶったその表情は、戦闘時のロドニーさん以上に凛々しく、威厳がある。
『ネルソン級戦艦二番艦ロドニー。あなたはこれより、私の指揮下に入ります』
「……!」
お姉さんは威風堂々な態度で、自身の部下、ロドニーさんに話しかけた。これは、ロドニーさんのお姉さんではない。彼女の戦友にして上官、ネルソン級戦艦一番艦、艦娘ネルソンだ。
『そして上官として、次の任務を伝えます』
「は、はい!」
『引き続きその鎮守府に在籍し、深海棲艦との和平交渉に尽力する、サクラバイツキ大尉の力になりなさい。護衛として、サクラバ大尉をあらゆる脅威から守りなさい』
「姉さん……」
『サクラバ大尉が現在携わっている深海棲艦との和平交渉は、今や全世界の注目の的です。そのことに、決して良くない印象を持つ者もいるでしょう。そのような敵性勢力からサクラバ大尉を守り、和平交渉を円滑に進め終戦を迎える事は、我らが女王陛下も望んでおいでの事です。故に私のこの命令は、女王陛下の勅命と同義。大将の帰還命令は無効とし、破棄されました』
「姉さん……ひぐっ……ねえ……さん……」
『だから、残りなさい。……あなたのホームに』
「ありがとう姉さん……ひぐっ……あり……がと……ありが……」
お姉さんの言葉を聞いたロドニーさんは、目に涙を一杯ため、涙がこぼれて嗚咽してしまうのも気にせず、テレビ画面をジッと見ていた
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