MySword,MyMaster
Act-3
#4
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちが今間借りしている傭兵部隊の人たちが、合同で訓練をしていることを、今の僕は知っている。当時の僕も、一応、知っていた。
僕みたいな『出来損ない』というか、落ちこぼれの魔術師を、どうして父さんが連れて来たのかは良く知らないけど、でも、とりあえず、そこにいた。
しかしさすがに訓練になると追い出された。僕と同じくらいの子どもたちもたくさん参加していたけど、なぜか父さんは「お前はどっか別の場所で待ってろ」と言い、僕を訓練場から追い出してしまったのだ。
居るべき場所を失った僕は、立ち並ぶ施設たちの中で、それまで一度も入ったことのない建物の中に、興味本位で入った。無生物的で、のっぺりとしていて。どこか、近未来的なその建物。
或る種牢獄の様であった、と悟るのは、もっと後。
僕はそこで、運命に出会う。
ふっ、と開いたドアの中に入ると、中には、誰かがいた。人がいるだなんて思っていなかった僕は驚いて、思わずうわぁっ、と声を上げてしまう。そのため、その『誰か』は僕の方を向いた。
女の子だ、と気付いたのはその時。きれいな、翡翠色の目をした、彼女。黒い髪は日本人みたいだけど、その眼は日本人じゃないみたいで。顔立ちも、西洋人のようにも、東洋人のようにも見える。幻みたいに、儚い。
でも一つだけ確かなことは――凄く、凄く綺麗で。そしてそこに、一人でいた、という事。
君は、行かないの? と、過去の僕が問う。
私は、出来損ないなので。と、過去の『彼女』が言う。
じゃぁ、僕と一緒だ、と、過去の僕が、更にいう。
過去の彼女は、不思議そうに、可愛らしく首をかしげる。
僕もそうなのだ、と。僕もまた出来損ないの落ちこぼれだから、外の人たちには厄介払いされてしまった、と、彼女に言う。きっとある種愚痴だったのだろう。でも、彼女はそれを純粋に受け止めて、じゃぁ、私もそうですね。と、返して。
――小さく、笑って。
多分きっと、恋はその時始まった。今でこそ四年後の再会の時がきっかけだと思っているけど、でもきっと、萌芽の様なものは、その時僕の中に芽生えたのだと思う。
だってそうでもしなかったら、それから毎日彼女に逢いに行ったり、遂に騎士団の『小遣い稼ぎ』の計画が起動して、傭兵団が壊滅し、巣穴と化していた街ごと倒壊したあの時に、彼女だけを助けるなんて良く分からないこと、僕の性格的に絶対にしない。
ほぼ、無意識で、父さんの持つ聖剣を奪い取って。その力を、自らの中に流し込んで。僕じゃぁ絶対に発揮できない力で彼女を助けて、帰ってきた。
もう、十年にもなる、と思うと、少し驚きを隠せない。魔力焼け、と呼ばれる、本来ならば扱い切れないほどの魔力が己の内からあふれ出たことに対する反動。僕の髪は金色に。僕の瞳は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ