S-3 ■■■■■■
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イバーの剣は地面に刺さった黄色の短槍により攻撃を阻まれていた。それに対して黒髪のセイバーの右腕は突き出されており、握られていた純白の剣がセイバーの鎧を貫き、脇腹を深々と刺していた。引き抜かれたその剣身はセイバーの血によって赤黒くなっていたが距離を取ったセイバーが左右に剣を振るうと元の純白の剣に戻っていた。
だが、その直後、凄まじい衝撃波がセイバーを襲い、後方へと吹き飛ばした。
オレは魔紙を焼失させ、治癒魔術を即座にセイバーへとかける。速さ重視のため、全快ギリギリとなってしまっただろう。
「やはり……逸話通りか……」
セイバーはそう言い、傷をさすって自分の傷の状態を確認する。
「あと一本……か?」
セイバーがそう呟く。「あと一本」その意味をオレは理解できた。予想だが黒髪のセイバーの真名かソレなら確信できる。
「そこまで分かっているのならもう真名を隠す必要も無いだろうな」
黒髪のセイバーがマスターの方にアイコンタクトを送るとマスターは微笑んで頷いた。恐らく真名を明かしていいかの確認だろう。黒髪のセイバーが口を開ける。
その直後、一斉に何かを凪ぎ払うような、凄まじい音が聞こえてきた。
「「「「!?」」」」
オレを含め、全員が驚きその音がする方へと向く。黒髪のセイバーは跳躍し、マスターの目の前で武器を構える。セイバーもバックステップを取り、警戒している。音源は林の方だが、もうある程度の姿が見える。最後の数本の木が凪ぎ倒され、ソレが完全に姿を現す。ソレの背後には木が何本も倒れており、焼けていた。
ソレの姿は異形だった。身体は鱗のような外套に覆われていた2mを越えた大男、だがその顔や雰囲気には見覚えがあった。
「セイ、バー……?」
オレのセイバーと全く同じ顔と雰囲気を纏っている。胸元で緑色に輝く紋様は正しくセイバーと同じものだ。
相違点は鱗のような外套と体格、そして竜のような翼と尻尾だった。
『ミツケタゾ』
低く、エコーがかかっているような声が響く。声を発したのは勿論、先程現れたサーヴァントである。その声もまた、セイバーと同一だった。
「やはり……お前だったか……」
セイバーが小さく呟き、身体に纏う魔力を更に濃密にする。セイバーの言葉とこの行動、そして姿から生前に因縁がある敵と言うことがわかる。更にお互いが纏っているのはライバルのそれではない。純粋な殺気……完全なる『敵』だ。
ソイツが俺たち四人を凝視する。背筋が凍りつきそうなほどの眼の圧力。しかしそれは直ぐに
『ヨワイナ ガッカリ コロス』
そう吐き捨てた。
「それは聞き捨てならないな」
鱗のセイバーの言葉に直ぐ様反応する黒髪のセイバー。槍を突きだし、睨みかける。
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