198部分:聖杖その三
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敵は何処から?」
「北東からです。全軍飛竜に乗っております。兵力は二万程です」
「飛竜・・・・・・まさか!?」
セリスは伝令の言葉に何かを悟った。だが彼はすぐに動けなかった。しかしすぐに動いた者がいたのであった。
「くっ・・・・・・!」
アルテナはその報告を聞き部屋を飛び出した。そしてそのまま廊下を駆けて行った。
「あっ、待ってアルテナ王女、今動くと・・・・・・」
セリスはそこで言葉を止めた。それ以上言っても何もならないと悟ったからだ。
「セリス皇子、わかっておられるでしょう。アルテナ王女は今二つの血脈の因縁を断ち切りに行かれたのです。グングニルとゲイボルグ、二本の槍の悲しき運命を」
クロードが左手をセリスの右肩に当てながら言った。その手は優しい温もりに満ち温かかった。
城壁の上から一騎飛び立ち天高く上がっていくアルテナの後ろ姿が見えた。その右手にはあの槍が握られている。
「今までアルテナ王女は戦いから、障害から、そして運命から逃げた事はありませぬ。そしてこれからも・・・・・・。その様な王女であられるからこそ二本の槍の運命を必ずや断ち切られます。心配はご無用です」
ハンニバルが力強い声で言った。その言葉に一同は頷いた。
アルテナの手にあるゲイボルグ、その槍は何も語ろうとしない。ただ槍に埋め込まれている紅の宝珠が彼女の身体を包むかのように輝いていた。
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