British Rhapsody 〜赤城〜
Farewell
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「私は明日、本国に戻る」
私とロドニーさんの稽古の次の日。提督を除くいつものみんなと、集積地さんと戦艦棲姫さんと天龍二世さん……食堂に集まってもらったみんなが見守る中、ロドニーさんは、しずしずと口を開いて、皆にそう告げた。皆の反応は、様々だ。
「ぇええ!? 突然すぎんだろ!?」
「すまないなテンリュウ。中々言う踏ん切りがつかなくてな……」
素っ頓狂な声を上げる天龍さんに対し、ロドニーさんは丁寧な返答を返していた。
「だから昨日、赤城と一戦やらかしたクマ?」
「そうだ。ここに来た時から、互いに恋焦がれた戦いだったからな」
「二度と会えないわけじゃないクマ。慌ててやらなくても……」
「だが、その次がいつになるか分からんしな……」
球磨さんの冷静な指摘に対しても、ロドニーさんは丁寧な返答を返す。
「コワイカー!!」
「怖くはないな……お前も、ありがとう」
「最後ぐらい怖がってやれよーロドニー!!!」
バンザイをする天龍二世さんの頭を、ロドニーさんは優しく撫でていた。天龍さんの突っ込みは邪魔だったらしく、完全に無視していた。
私たちの稽古の翌日、ロドニーさんはついに皆に話す決心をし、食堂で皆に帰国の旨を伝えた。私や電さんはすでに知っていることだったが……
「戦艦棲姫、世話になった」
「まったくだ……お前とはいい思い出がない」
「そうか……寂しくなる」
「……まったくだ」
こうやって、皆と別れの言葉を交わすロドニーさんを見ていると、彼女との別れが近づいてきたことを実感して、胸が切なくなってしまう。
「ホウショウ。美味しい食事をありがとう」
「こちらこそ、いつも美味しそうにたくさん食べてくれて、ありがとうございました」
「あなたのおかげで、私は和食が好きになった。食事を美味しいと感じることが出来た」
「それはうれしいですね」
そう言えば、彼女とはじめて食事をした時、そんなことを言っていたことを思い出した。あの時は永田町で周囲を威嚇しながら、ただ生きるための栄養補給以上の意味を持たない食事を、たった一人で味気なく食べていたロドニーさん。この鎮守府に来て、はじめて食事の美味しさに気付いたロドニーさん。
だからこの鎮守府は、ロドニーさんの人生の位置づけの中で、とても大きな役割を担ったのだと思いたい。……いや、きっとそうなんだ。だから彼女は本国からの帰還命令に対しても最後まで渋ったし、永田町へも戻らず、ずっとここにいてくれたのだろう。
「オオヨド。世話になった。ありがとう」
「そんな……こちらこそ、色々とお世話になりました」
「お前は、戦わないのか?」
「司令部に希望は出してるんですが……なかなか許可が下りないんです」
「残念だ。お前はきっと強い艦
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