British Rhapsody 〜赤城〜
Farewell
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
!!)」
「はい! ちーず!!」
パシャリという音とともに、一際眩しく光ったフラッシュは、一瞬でその輝きを落とした。私たちが共にいる思い出の時間はその瞬間、青葉さんのカメラに、永遠に切り取られ、保存された。私達とロドニーさんとの時間はこの瞬間、思い出になった。
「……」
ロドニーさんの横顔を見た。彼女は皆の方を振り返り、満面の笑顔を浮かべていたが……
「ありがとう。みんな、本当にありがとう」
やはり目はしょんぼりしていた。
「青葉さん! ちゃんと撮れたのです?」
「バッチシですよ? ちょっと確認してみますか?」
「してみるのです!!」
皆が青葉さんの周囲に集まる。
「わ、私はあとで送ってくれれば……」
「ほら! ロドニーさんも来るのです!!」
渋るロドニーさんの手を、電さんが引っ張っていた。あの二人も、本当に仲良くなった。初対面はあんなに大変だったのに……
「ほら行こう! イナズマもそう言ってるじゃないか!!」
「わ、分かったよ……」
未だ渋るロドニーさんの背中を、今度は集積地さんが押していた。あの親子にかかってしまったら仕方ない……あの二人の人懐っこさと純粋さには、ロドニーさんも勝てない。彼女は二人に素直に従っていた。お二人共、ナイスです。
なんとも微笑ましい、お別れ会のワンシーン。この、平和でどこか悲しくはかない時間は、ある一人の素っ頓狂な声によって終わりを告げた。
「……なんだこりゃ!?」
天龍さんだ。誰よりも先に青葉さんの横で、カメラの写真を確認している天龍さんが、写真のデータを見るなり珍妙な声を上げていた。
「どうしたのです?」
「こ、これは……!?」
「コワイカ?」
電さんと天龍二世さん、そして皆の注目が青葉さんと天龍さん、そしてカメラに一身に集まる。
「テンリュウどうした?」
さすがにこの妙な反応は気になるらしい。さっきまであれだけ写真の確認を渋っていたロドニーさんが、天龍さんに声をかけ、自ら青葉さんと天龍さんの二人に向かって、とことこと歩み寄る。しかし天龍さんはそんなロドニーさんを左手で制止し……
「く、来るな!! 見るんじゃあねえッ!!」
と冷や汗を盛大にかきながら叫んでいた。その只事ではない雰囲気に皆が飲まれた。……ウソだ。みんな意外と冷静だ。天龍さん以外は。
「どうしたんだ? それじゃあ分からないぞ?」
「や、やべーぞロドニー……ガクガクブルブル……」
「何がだ?」
「キャァァアア?」
天龍さんは青ざめた顔で、珍しく内股になり、身体を縮こまらせてガクガクと震え始めた。その様子は、さながらインフルエンザ予防接種の前の電さんのようだ。ギュッと目を閉じ、恐る恐る薄目を開
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ