British Rhapsody 〜赤城〜
Farewell
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」
考えてみれば、ロドニーさんの変化を一番見ているのは、私ではなく青葉さんだった。彼女は永田町でロドニーさんをずっと見ていた。
だから、ロドニーさんの変化は、青葉さんにとってもきっとうれしいものだったんだ。同時に、永田町にいた頃の、たった一人でポツンと佇み、周囲に敵意を振りまいていたロドニーさんのことを不憫に思い、この鎮守府にきてよかったと心から思ってくれた。彼女にとってもきっと、ロドニーさんとの別れは感慨深いものだろう。
「うう……ロドニーさん……」
「イナズマ。お前にも、世話になった」
「お世話になったのは電の方なのです……」
「お前には……辛く当たってしまった……そのことは今でも、少し後悔している」
次は、涙目で必死に泣くのを我慢している電さんの元に、ロドニーさんが歩み寄っていた。そうだった……最初ロドニーさんは、電さんに対してとても冷酷にあたっていた。もっともそれは、彼女なりの、電さんへの優しさだったのだが……。
でもきっと、電さんは分かっている。
「んーん。違うのです。ロドニーさんは、電のことを心配して厳しくしてくれたのです。電たちのことを助けたくて、一人で頑張ってたのです」
「……」
「だから、電は……ひぐっ……感謝しかしてないのです」
「そうか……そう言ってくれるか」
「はいなのです」
「集積地と同じく、私のことも、友達だと思ってくれるか?」
「も、もちろんなのです!!」
「……ありがとう、イナズマ」
ほら。電さんは、人の機微に敏感だ。言ってみれば、悪意や憎悪にも敏感だが、優しさや愛情にも敏感だ。彼女は、ロドニーさんの優しさをきちんと受け止めている。
ところで……この場には、来てない人物が約一名いる。
「……オオヨド」
「はい?」
「司令官はどうした?」
「ああ。提督は司令部からの連絡を受けて席を外しているだけで……声はかけたので、すぐ来ると思いますけど……」
「そうか。いい機会だ。あの方にもお礼を言わなければ……」
提督の所在を聞いたロドニーさんは、遠い眼差しで執務室の方向を見た。なんだかその眼差しが寂しそうに見える。
「ところでロドニーさん」
「ん?」
さっきからバシャバシャとうるさくシャッターを鳴らし続ける青葉さんが、カメラのファインダーを覗きながら、ロドニーさんに言い寄っていた。
「赤城さんへの挨拶はいいんですか? 一番仲が良かったじゃないですか。昨日は前代未聞の演習をやりましたけど」
「……アカギか?」
「ロドニーさんも赤城さんに対抗意識燃やしてましたけど、赤城さんは赤城さんで、ずっとメラメラバーニングしてたんですよ?」
「やめて下さい青葉さんッ!!」
「ぇえー……いいじゃないですかー……」
改め
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