196部分:聖杖その一
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聖杖その一
聖杖
コープルは養父ハンニバル、アレス、そしてリーンと共に再会を見守っていた。そこへクロードがやって来た。
(来たか・・・・・・)
ハンニバルは落ち着いてクロード、そして我が子を見ている。その瞳には静かな、それでいて逞しい強さを秘めた光が宿った。
「お久し振りです、将軍」
クロードは微笑んで挨拶をした。
「はい、こちらこそ」
ハンニバルも挨拶を返した。他の三人は自分達が思っていたより驚かなかった。何故かこの二人が旧知である事を当然のように受け止めた。
「今までコープルを預かって頂き有り難うございます。・・・・・・それもここまで立派に育てて頂いて」
「いえ・・・・・・」
「コープル・・・・・・」
クロードはコープルの方を見た。
「今まで離れ離れで申し訳ありませんでした。私はクロード。貴方の父です」
クロードは語りはじめた。先の大戦のあと妻シルヴィアと共に一旦はダーナへ逃れた。そこで生まれたばかりの幼い娘を修道院に預けレンスターへ落ち延びた。そしてかってより親交のあったトラキアのハンニバルを頼り彼に一年程匿われた。また子供が生まれた。やがて追求の手がハンニバルの周辺にまで及ぶにつれ二人は海路ブラギの塔がありかっての戦友達が潜伏するアグストリアに行く事にした。生まれたばかりの幼な子はハンニバルが預かり育てる事となった。−−ーそれから十数年、今ここに父と子が巡り会う時がこのラドスにおいて来たのだ。
「修道院に預けられた幼い娘があたし・・・・・・。まさかあたしにも父様と母様がいたなんて・・・・・・」
リーンの緑お瞳から涙が零れ落ちて来る。アレスはその肩を無言で抱き締める。
「時が来れば迎えに来るつもりでした。・・・・・・ですがここで会えるとは。これもブラギ神の御導きでしょう」
クロードはそう言って優しく微笑んだ。
「我が妻に瓜二つです。軽やかで華がありそれでいて心の強い我が妻シルヴィアに」
「母様は・・・・・・」
「今はヴェルダンにいます。この戦いが終われば会えます」
「そう・・・・・・」
「そして・・・・・・コープル」
クロードはコープルへ顔を向けた。
「はい」
コープルは静かに答えた。何かを察していた。
「私が今から貴方に言わんとする事がわかりますね。ブラギの血を引く神器バルキリーの杖の継承者よ」
「はい」
クロードはコープルが手にしている古い杖を手に取った。そして何か唱えはじめた。
「聖なる杖よ、時は来ました。今こそその真の姿を現わすのです」
クロードが言い終わると杖は白い光を放った。古い皮が剥がれる様に古ぼけた表が落ち、その中から白い宝珠を飾った美しい杖が現われた。
コープルはその杖を父から受け取った。杖
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