第7章 聖戦
第162話 バトル・オブ・ガリア
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しか能のない戦闘機たちでは、その交差した飛竜たちを即座に追えるほどの運動性はない。そもそも旋回半径が二百メートル以上必要な戦闘機では、滞空すら出来る飛竜を完全に射線上に置き続ける事は本来不可能。
確かに彼らの操る機体に関して精確なスペックを知っている訳ではないが、それでも零戦の旋回半径が百八十メートル程度。ここから推測すると、このゲルマニアが用意した戦闘機は少なくともコレよりも大きな旋回半径を有する機体だと考える方が妥当でしょう。
交差し、訳の分からない方法で味方機を撃墜した時代遅れの飛竜騎士たちを、あっさりと低空域へと逃がして仕舞うゲルマニア戦闘機たち。
おそらく彼らは今の一瞬に何が起きたのか未だ理解すら出来ていないはず。
しかし、と言うか、当然と言うべきか。ゲルマニア航空機部隊の悲劇がこれで終わった訳ではない。
一瞬の空白。その空白に新たなる影が迫る。
刹那、上空から一直線に降下してきた二騎の飛竜。その飛竜が編隊を突きぬけた瞬間、双発の爆撃機の翼が根元から綺麗に斬り裂かれ――
そのまま、地上に向けて墜ちて行く。
このハルケギニア世界の飛竜は、そもそも風の精霊をその支配下に置く事が出来る、魔法使いの階梯として言うのなら、系統魔法使いたちよりも高位に当たる精霊使いたち。
それでなければ、五,六メートルの巨体で時速にして二百キロ以上の速度で人間を背に乗せて戦闘行為など出来る訳がない。そもそも竜騎兵としてフル装備をした人間の体重は百キロ以上。それに飛竜自らの体重を合わせると、魔法でも使わない限り、飛び立てるほどの揚力を得る事など絶対に出来はしない。
つまり、上空から自由落下に等しい速度で急降下を行ったとしても、風の精霊を自在に操れる飛竜と、その飛竜を自在に操れる騎士ならば、その結果、例え音速の壁を破るほどの速度を得たとしても、其処から急制動。そして、反転、急上昇が出来たとしても何も不思議ではない。
まして、その二騎の飛竜騎士はおそらくマジャール侯爵と、彼の娘アリア。
確かに今世のマジャール侯がどの程度の能力を持つ術者なのか定かではない。が、しかし、今の人生の彼が前世の彼……俺の父親だった人物と同一人物だと仮定すると、彼は覚醒した龍種。わざわざ飛竜の背に乗らずとも精霊の加護により蒼穹を翔け、槍など使用せずとも脆弱な第二次大戦当時の戦闘機なら自らに備わった手刀のみで断ち切る事が可能。
当然、その部分に関してはアリアにしても同じ。
彼らは、彼らに備わった能力として風の精霊を友とし支配する事が出来る以上、ゲルマニアの編隊の中に斬り込み、そこで常識外れの人間対飛行機と言う格闘戦を挑む事が出来ると言う事。
二人の振るう剣が、槍が陽光を反射する度に、まるで泥を切るかのように斬り
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