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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第162話 バトル・オブ・ガリア
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からすると、農奴を前線で使い捨ての雑兵にする事に躊躇いなどないはずなので、自分の国の民を本来の限界を越えて徴兵する事に対していささかの躊躇も感じていない……と思う。
 公称人口百万のトリステインがアルビオンへ最初に送った兵の数は六万。これは総人口の六パーセントに当たり、本来ならばこれは根こそぎ動員と言うやり方。少なくとも地球世界の歴史上から言うとかなり異常な事態。本来なら一から、多くても二パーセント程度が妥当な数字だと思う。
 当然、この中には傭兵の類も居るのでしょうけど……。
 その根こそぎ動員を初戦用の戦力として投入する戦力の為に簡単にやってのける辺り、トリステイン政府が異常でない限りこの世界の常識と言うのは、貴族ではない一般的な国民に取ってかなり過酷な世界だと思われるので……。

 其処から考えるとゲルマニアの動きは異常。考えられる可能性としては……。

 現世のゲルマニア皇帝が勝てる可能性の薄い戦争に乗り気ではなく、さりとてロマリアとの関係上、聖戦を無視する事は出来ない。故に、取り敢えず攻めたと言う実績を残す意味だけで、場違いな工芸品(オーパーツ)を中心に編成した部隊だけを送り込んでお茶を濁した。
 運が良ければ辺境の都市ぐらいを略奪出来れば儲け物……ぐらいの感覚で。
 今回のリュティスへの爆撃も、その延長線上の行為。他国の不満分子で、自分たちの手ゴマとして使っていた奴らの援軍要請に応えただけで、ゲルマニアとしては積極的に動く心算はなかった。もしくは積極的に動かせる戦力はなかった、と考えられるとは思う。

 その辺りを補足する情報として考えるのなら、ガリアのアルサス地方で反乱が起きて、その対処に西薔薇騎士団が動いているようなので、そちらの方にゲルマニア軍の主力が送り込まれている可能性はある。

「まぁ、ゲルマニアとしては新しく得た領土の保全を一番に考えたいのだろうから――」


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