伍:戦後
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よぉ。おめえが、軍の連中を助けに飛び込んでいったのもだけどよ」
「……どうした?」
「なんつぅか、嬉しかった。うちの弟子、守ってくれてありがとな。……そんだけだ」
クラインはそう言い残すと風林火山を連れアスナとキリトを残し、74層を後にした。
―――――
「あ、ぁあ………刀……がっ……!?」
目の前で刀が砕け散る。うまく体が動かずに地面にたたき落される。反撃を考えようにも体がすくんで動かない。それをお構いなしに目の前の悪魔――ザ・グリーム・アイズ――はセリシールの小さな体を殴り飛ばす。
「ひ、いぎっ!?」
HPを見ずともわかる。次の一撃で死ぬ。
死ぬのは唯一の逃げ道だと思っていた。デスゲームを宣言されたあの日から目的はそれだった。しかし逆に刀があれば何でもできると思っていた。敵を切り刻む、ねじ伏せる、始まりの街でおびえずとも先へ進める。
でもそれは間違っていた。
死はとてつもなく怖い。理由なんてない、単純に怖い。
刀があっても何でもできるわけじゃない。
「いや、いや………っ」
後ずさりしようにも後ろは壁、横にも逃げ道はなく目の前では悪魔が剣を振りかぶり今にも下ろそうとしている。
セリシールの叫びも目の前の悪魔には届かずそのままその巨剣を、しりもちをついて動けない彼女へと……。
―――――
「いやぁああ!!−−−−ッッ……!!……あ、あ……れ……?」
目を開けたらそこはベッドの上だった。目の前に先ほどの悪魔はおらず、そこそこ大きいベッドに小さなテーブルが一つと、宿の個人部屋だった。
時間は深夜2時から3時ほど。いつものようにこの部屋には女性ということでセリシールが一人となっている。きっと隣の部屋には雑魚寝しているクラインやほかの風林火山のメンバーがいるのだろう。
「……わ、たし……あの時……っ」
刀を折られた先のことはぼんやりとしか覚えていない。セリシールをかばいつつキリトの準備を進めていたアスナやクラインのことをただ見ることしかできていなかった。その後は、キリトの新しいスキルの連撃によってボスのHPが0になったところで記憶は途切れている。
「あ、ぁああ……あああ!!」
思い出すと震えが止まらない。刀を折られたこと。HPを0にされそうになったこと。市の直面に立たされたこと。両腕で体を抑えても収まるどころかさらに体が震えている。
怖い怖い怖い、怖い怖い怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
敵の前に立つこと、フィールドへ出ること。そして刀を持つことが。
フラッシュバックのように、自分の愛刀がおられ目の前にあの悪魔が立ちはだかるのが映像として脳裏に浮かぶ。振り払おうとも頭を何度たたいて、振ってもその映像が最初
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