第百二十五話
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て目を細めながらも、イグドラシル・シティの向こう側を見つめる。
「なぁリズ……とりあえず、歩いて探してみないか?」
「……そうね、ここで立ってるよりはいいし」
……ひとまず分かったことは、花びらが飛んできた方向に歩いてみることだった。リズは少しながら不満げな表情を見せたものの、とはいえ自分にも何か策がある訳でもないらしく、コートに身を包みながら隣を歩き始めた。
「花って言えば、現実も花見日和だな」
「いいわね、お花見! 今度、みんなで行きましょうか!」
時は4月を巡り、そこかしこに桜が見えるようになってきていた。そういうパーティーごとが好きなリズは食い気味に反応し、彼女の脳内では既に予定のシミュレーションが始まっているようだ。
「花より団子にならないか?」
「両方を楽しむってのが通ってもんよ! ……あ! 花屋よ花屋!」
どこかに自生でもしていないかと、無駄話をしながらも周囲をグルグルと見回していた俺たちの視界に入って来たのは、街角に設えられた花屋だった。しかもどうやらプレイヤーショップらしく、何か手がかりを得られるかもしれない。
「すいませーん!」
「はーい!」
リズの威勢のいい入店の声に対して、どこか清楚な雰囲気を感じさせる、女性の声色が店の奥から聞こえてきた。その声の調子から、幸運にもプレイヤーが店にいるようであった。
「いらっしゃいませ……ですが、その」
そして店の奥から出て来たのは、声色から連想するそのままのアバターをした、貞淑という文字が似合うプーカの妖精。シウネーにも似たような印象を受ける花屋の店長は、どこか申し訳なさそうな表情をしていた。
「すいません。今、花はどれも品切れでして……」
「いえ。その、変なことを聞くようですけど、この花びらがどんな花かって分かります?」
なるほど、商品が品切れ状態だから申しわけなさそうな表情をしていたのか――と納得したのも束の間、俺とプーカの店長の間にスラリとリズが割って入ると、こちらの手のひらから花びらを引ったくってプーカの店長に見せた。
「え? ああ、この花びらのことなら……はい、分かりますよ」
「あたしたち、この花を摘みに行きたいんです。場所とか、教えてもらっても?」
そんな様子を見たプーカの店長の表情が、申しわけなさそうな表情から微笑みに変わっていく……間にリズがいるせいで、よく見えるわけではないが。とはいえ会話を判断するに、どうやら手がかりを掴むことが出来たようだ。
「はい。わたしに分かることなら、全て」
「やった! ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
そうしてプーカの店長は、その花びらのことを話しだした。流石は花屋のプレイヤーシ
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