MySword,MyMaster
Act-3
#1
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サーヴァント、というものに、睡眠や食事などは必要が無い。
そもそも彼らは霊体で在るが故に、疲労や空腹などを感じることがない。真エーテルで構成された彼らにとって必要なのは、現世に繋ぎとめられるための楔――マスターと、その魔力だけである。
この場合、極論すればマスターも不要となる。ある種の楔の代わりとなる概念礼装があれば、あとは魔力は別の供給源から手に入れればいいからだ。
食事などは魔力供給の代わりとなるため、中には人間の食事を好んで行うサーヴァントも存在するだろう。
しかし、そうやって手に入る魔力は、現界にひつようなそれの、ほんの足しにしかならない。基本的にはマスターから魔力を得る方がはるかに効率がいいのはそのためでもある。もっとも、マスターの魔力が非常に少ない、と言うのであれば、食事をとらせる、というのは非常に有効な手段ではある。
だがそれよりも、もっと効率的に、そしてかつ大量の魔力を賄う方法が、聖杯戦争には存在する。
――魂食い。
そう、呼ばれる。
この魔力供給方法は、読んで字のごとく。生きている人間の魂を喰らうことで、魔力に変換する、というものだ。
サーヴァントは真エーテルで構成された、物質を持つ霊体である。第三魔法の産物ともいえるその力こそが聖杯の奇跡の一端と言っても過言ではないが――問題はそこではない。
魂で構成されている、ということは、同じく魂を継ぎ足すことで、更に強化をすることができる、ということなのだ。
サーヴァントの現界を保つだけではなく、更にサーヴァントの性能を安定させることができるのが魂食い。
しかし、留意しておかなくてはならないのは、ここにおいて犠牲となるのは無辜の一般市民――即ち、聖杯戦争の存在を秘匿しなければならない、表の世界の住人たちである、ということだ。
大っぴらに魂食いを行えば、たちまちのうちに神秘の漏えいにつながり、監督役によって処罰される…具体的には、他のサーヴァントたちによる袋叩きにあうであろう…ことになる。いかに聖杯が聖堂教会からもたらされた物であり、超常の存在達による殺し合いである、とはいえ、あくまでも聖杯戦争は魔術儀式なのである。
サーヴァントにも願いがある。それを達成するために聖杯戦争に挑む。故に、中途敗北を引き起こしかねないこの方法は、あまりとることは無いだろう。
故にマスターの殺害というのが裏の戦術として存在し得るのである。
努、忘れるなかれ。
聖杯戦争に於いて、最も重要な存在は、ある意味ではマスターである、ということを。
***
「マスターが存在しないサーヴァントがいる、ですか?」
「うん。サーヴァントとマスターの数が合わない。サーヴァントは全部で七基いるのに、マスタ
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