British Rhapsody 〜赤城〜
Confession
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、帽子を脱ぎ、上着の第一ボタンを外して、ロドニーさんの前に威圧的に立ちふさがったそうだ。
『お前のことは歓迎する。だが、うちの鎮守府の子たちに危害を加えた場合は……俺が直々にお前を解体する』
『私は女王陛下の艦娘だ。そのような暴挙をしでかすと、貴公もただでは済まんぞ』
『偽装と隠蔽の方法はいくらでもある。解体されるお前さんが心配する必要はないよ』
『……』
『だからその時は覚悟しろ。逃げても追いかけて解体し、抵抗しても刺し違えて解体する。誰に何と言われようと……たとえお前さんの国を敵に回しても、俺が、直々に、そして確実に解体する』
『……なぜそこまでする? 艦娘なぞ、貴公達にとっては駒の一つでしかないだろう?』
『だから何だ? 永田町ではどうか知らん。だが俺は、駒を守るためならなんでもやる。お前たちの戦いが海上戦闘なら、これが俺の戦いだ』
『……言いたいことはそれだけか?』
『そうよ? よく覚えておいてちょうだい』
『……承知した』
ロドニーさんの口から語られる衝撃の事実。提督はあの時のロドニーさんに向かって、そんな恐ろしいことを言っていたのか……和解の日の提督の姿で、その時のことを想像する。……背筋にゾクッと嫌な冷たさが走った。
「恐ろしいですね……」
つい本音が口をついて出た。電さんを見ると、彼女は真っ青な顔でガタガタと震えている。私と同じく、イメージの中のゆらゆらしてる提督の姿に、恐怖を覚えたようだ。集積地さんは……
「へー……あの提督がなぁ……」
齢90のおばあちゃんのように、美味しそうにずずっとお茶を飲んでいた。姫クラスの深海棲艦さんにとっては、確かに他人事ですしねぇ……。
「あの時の司令官には、底知れぬ恐怖を感じたな。口から出た出まかせかもしれんが……」
「……」
「ただ、あの死んだ魚のような眼差しでジッとこちらを見据えながら言われると、不思議な説得力があった。『この方ならやりかねない』そう思ってしまう迫力があった」
「ですね……」
「……同時に羨ましくもあった。『守るためならなんでもやる』と言い切る上官の存在に……お前たちを羨ましいと思ったよ。ずずっ……」
いつの間にかクリームあんみつを平らげたロドニーさんは、集積地さんと同じく齢90のおばあちゃんと化して、しみじみと茶をすすっていた。飲み干した湯呑みをジッと見つめる彼女の眼差しは……
「ロドニーさん」
「ん?」
「美味しかったですか? クリームあんみつ」
そんな上官を持つ私たちの仲間になれた嬉しさと、そんな私たちの元から離れる寂しさが同居している、なんだか複雑な表情をしていた。そして彼女の身体は、小さく縮こまっていた。
「……うん」
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