British Rhapsody 〜赤城〜
Confession
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いるだろうか。
いや、きっとそこに輝きはないだろう。灰色にくすんだ景色の中、ただ長閑な毎日を過ごすだけだ。今のような色鮮やかに輝く景色の中で、こんなに充実した気持ちで日々過ごすことなど、きっとできなかっただろう。
だから彼女には感謝している。初めて会った時の、あの約束を守ってくれた彼女に。私と存分に戦ってくれ、こんなにも充実した気持ちをくれた、ネルソン級戦艦2番艦、ビッグセブンの一角、戦艦ロドニーに。
「ロドニーさん」
「ん?」
「戻るのはいつでしたっけ?」
「明後日には出立する」
隣り合う私とロドニーさんの手が、湯船の中で静かに触れた。戦闘時にはあんなにも強大で雄々しく感じた彼女の手の平は今、とても小さくか細い、柔らかな少女の手となっていた。
「ロドニーさん、ありがとう」
「私こそ、お前に感謝する」
「あっちに帰っても、私以上の相手はいないですよ?」
「プッ……慢心というやつだ」
「へぇ……」
「……いや、きっとお前以上の者はいない」
「寂しいんでしょ。泣いちゃダメですよ?」
「お前こそな」
そう軽口を叩きあう私たちの手は、いつの間にか繋がれていた。私の手を握る彼女の手は優しく、柔らかかった。
その後充分に傷が癒えた私たちは、共に牛乳で喉の渇きを癒やした後、何よりもまず電さんに今回のことを謝罪することにした。集積地さんと一緒に入渠施設入り口のベンチに佇んでいた彼女は、私たちの姿を見るなり……
「赤城さん……ロドニーさん……無事で……よかったのですぅぅうう!!」
と私たちに向かって走ってくると、私の腰にしがみつき、おいおい泣きわめきながら、
「あんなあぶないことしたらダメなのです! 怪我するのです!!」
と私のおなかを、小さい両手でポカポカと殴っていた。
「ごめんなさい電さん。ご心配をおかけしましたね」
「うう……ただの稽古だって聞いたのに……あんなになるまで……ひぐっ」
「ただの稽古でしたよ。本当に」
「ウソなのです! あんなになるまで……ふぇええ」
泣きじゃくる電さんの頭を、くしゃくしゃと撫でる。こうやって純粋に私たちのことを心配してくれる、彼女の優しさが愛おしい。
「アカギ」
電さんと共にいた集積地さんが、困ったような笑顔で私たちを見る。どちらかというと、言うことを聞かない子供のわがままに困り果てた、母親のような笑顔だった。電さんならいざしらず、まさか私とロドニーさんが彼女にそんな笑顔を向けられることになろうとは……
「集積地さん、心配かけてすみませんでした」
「……いや、ちゃんと轟沈せず帰ってきたんだ。私は何も言うことはないが……」
意外と優しい言葉をかけてくる集積地さんは、そのまま手を電さんの頭に伸ば
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