British Rhapsody 〜赤城〜
Confession
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食を終わらせるほど、食欲も減退していた。彼女が何かに気を揉んでいることは気付いていた。それが理由なのだろうか。
「……」
ロドニーさんは、私の問を受け、神妙な眼差しで私と同じく天井を見上げた。天井よりもはるか遠くを見つめるその眼差しは、ロドニーさんが何か大きなことを抱えていることを如実に表わしていた。
ぴちょんという水滴の音が聞こえた。天井の水滴が湯船に落ちたらしい。私の頬に落ちれば、あの心地いい冷たさをまた味わえたのに。
「何か言えないことですか?」
「……」
「まぁ、無理にとは言いませんよ」
口を開かないロドニーさんの心をくみ、私はあえてそれ以上詮索しないことに決めた。気にはなるが、無理矢理に聞くことでもない。理由を知ることも大事だが、彼女とこの上ない戦いを堪能できたという結果の方が、私には重要なことだ。そう思い、私は後にロドニーさんと開くことになる、『電さんごめんなさいパーティー』に誰を呼ぶか、考え始めた。
「私は明後日、本国へ戻る」
私がパーティーに天龍さんを呼ぶか迷っていた時、ロドニーさんの口がそんなことを告げた。あまりに唐突で、ともすれば聞き間違いかと思ってしまうような、そんな内容だ。
「そうなんですか?」
「ああ。少し前に、本国から帰還命令が下った」
そう語るロドニーさんの声色は寂しく、そして話す表情には、曇り空が広がっていた。
彼女は元々帝国海軍所属ではなく、イギリス海軍所属の艦娘だ。研修と称して永田町に在籍していたが、本来は帝国海軍の指揮系統からは外れている。彼女の上層部はイギリス海軍司令部であり、最高指揮官はイギリスの女王なのだ。
現在ロドニーさんは、永田町鎮守府からこの鎮守府へと合流した後、永田町のクソが逮捕されるというゴタゴタで、所属鎮守府が不明瞭になってしまった状況だ。なし崩し的にこの鎮守府にいるが、本来は永田町鎮守府に所属していなければならない立場のはずだった。
「それが本国に知れたようだ」
「ここにいると、何かまずいことでもあるんですか?」
「特にはない。……だが、栄誉ある女王陛下の軍人として、そのような宙ぶらりんな者がいるということが、司令部は気に入らないのだろう」
「……」
「こちらに残りたいと言い続けたが……『とにかく戻れ』その一点張りだったよ」
「……」
「……それに、大将直々の命令とあらば……な」
彼女は天井を眺めるのをやめ、私の方を向いた。戦う前のような、こちらに突き刺さってくるような鋭い眼差しでもなく、戦闘時の、少年のようにキラキラと輝く眼差しでもなく、この鎮守府に来てからよく見せるようになった、柔らかく優しい青く澄んだ眼差しが、一抹の寂しさと共に、私に微笑みかけていた。
「……仕方ないよな」
「
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