British Rhapsody 〜赤城〜
Confession
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ろい。意外でもなんでもないことに気付いた。
電さんは、全身傷だらけで血塗れだった私とロドニーさんを見て、酷く取り乱し、泣きじゃくったそうだ。彼女には『稽古』とだけしか伝えてなかったから、そらあの惨状を見たら取り乱すだろう。電さんには悪いことをしたな……。
フと、自分の髪が湯に浸かってないことに気付いた。髪に触れる。私の髪は、バレッタでまとめられていた。バレッタに触れ、形状を確認する。見えないのでよくわからないが、この形状はおぼえがあった。
「イナズマが、気を失ってるお前の髪を留めたそうだ。自分のバレッタを外してな」
「そうなんですね……」
「私は編みこんでいるから大丈夫だったが、やはり髪は纏めたいだろう?」
「ええ」
私は、自分の髪を留めている電さんのバレッタに優しく触れた。すでに結構な時間この入渠施設にいるからか、電さんのバレッタはほんのりと温かい。その温かみが、彼女の優しさや気遣いを象徴しているようで……まるで、電さん本人が私の髪を優しく結っているようで、胸のあたりの内側に、じんわりと温かさが広がっていった。
「ロドニーさん、あとで電さんにクリームあんみつでも奢りましょうか。お詫びがてら」
「だな。あと戦艦棲姫にも。先ほどの横槍の礼もかねて」
「ですね」
「テンリュウはどうする?」
「……明日にでも、対空演習でしばき倒すことにします」
「ぶふっ……ひどいな……」
「そうですか? スパルタなだけですよ?」
「それをひどいと言っているんだ私は。ククッ……」
可笑しそうに笑うロドニーさんの笑顔を尻目に、私は明日、天龍さんを滞空演習でしばき倒すことを心に誓った。轟沈判定を10回は叩きだしてやる。泣くまで沈め続ける。それが、私を心配してくれた彼女への、私なりの礼だ。
フウッとため息をつき、天井を見上げた。いつもの入渠施設の天井だ。冷たい水滴が一滴、私の頬に落ちてきた。戦いのときの水しぶきと同じ冷たさだが、心が穏やかな今、その冷たさに心地よい安らぎを感じる。
「ロドニーさん」
「ん?」
「なぜ今日だったんですか?」
ずっと思っていた疑問を彼女にぶつけた。彼女との死闘は楽しかった。互いを極限まで潰し合うあの死闘を私は存分に堪能した。だから後悔も怨恨もない。なにより、私も心の奥底で待ちわびていたあの戦いに、何も思うところはない。
だがなぜ今日なのか。なぜ今日、急に私と戦う気になったのかを知りたかった。何かキッカケがあったのか。それともフと思い立ったのか。理由は何だっていい。知っても良いことなら、私は彼女に教えて欲しかった。
心当たりがあるとすれば……彼女はここ数日、ずっとおかしかった。夕食時も、好物の鳳翔さんお手製絶品ご飯を前にしてぼんやりとしていたし、お櫃一杯で夕
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