MySword,MyMaster
Act-2
#3
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と、唐突にセイバーが膝をついた。それはもう、がくり、と、体中の力が抜けた様に。
「セイバー!」
駆け寄る。魔力切れだろうか? いや、まだ平常通りに魔力を吸い上げているが……。
「どうしたのです。大丈夫ですか?」
問う。するとセイバーは、ゆるり、と顔を上げて、
「ああ……すまない。どうも戦闘の後はいつもこれだ」
と答えた。心配をかけないでください、と返す。
セイバーはグレーシャにとっては己の身を護るための盾であると同時に、裕一に聖杯を捧げるための武器。そして、裕一の正統性を証明する生き証人である。もちろん、サーヴァントをただの道具、使い魔として侮ってはいけないことは分かっている。が、グレーシャとセイバーの場合は、そのような関係性を結んだ方が、より円滑なコミュニケーションをとれる、と、どちらもが考えているが故の関係性だった。
だからグレーシャは、急に愛剣の切れ味が悪くなった剣士のように、言う。
「常にそうだというのならば仕方ありませんが、大切な局面で力を失わないように」
「心得た。問題ない、どうも、強力な敵と戦うと、な……」
俺のもともと軋んでいる霊基が、更に軋みを上げるのだ――と。
セイバーは黄金の聖剣を水面に還すと、立ち上がる。
「戻ろう。今回姿を見せなかったサーヴァントは、ライダーとキャスター。もしかしたら、どこかで我々を見ているかもしれない」
「その場合は最悪ですね……アーチャーがこちら音を拾う手段を持っていたならば、貴方の真名が、全てのサーヴァントに知れ渡ってしまった事になります」
自然と、顔、顰めてしまう。
もし裕一にその様子を諫められたなら、仕方のないこと、と、今だけは弁明したい。アサシンは、サーヴァントたちの目前で、セイバーの真名につながるワードを口にしたのだ。世界中に『騎士王』と呼ばれる英霊は、アーサー王以外にほぼいない。それに、そこに『黄金の聖剣を持つ』などと言う枕詞がついた暁には、ほぼその真名は確定する、と言っても良い。
聖杯戦争に於いて、真名の露呈と言うのは致命的だ。
真名は、そのサーヴァントの正体である。サーヴァントを分御霊とする英雄が何者なのか――それが判明すれば、対策を練ったり、弱点を見極めたり、その宝具を類察することが可能になる。
例えば、サーヴァントの真名が『ジークフリート』だったとしよう。ジークフリートは、北欧の叙事詩、『ニーベルンゲンの歌』に登場する無敵の英雄だ。ネーデルラントの王子にして、ドイツやオランダなど北欧諸国においては国民的英雄の地位にある。日本でも圧倒的な知名度を誇る、おそらく、『世界一有名な竜殺し』の一人。
ラインの黄金によって竜の姿に変貌した小人族のファヴニールを
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