MySword,MyMaster
Act-2
#2
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――槍、か。
セイバーが、口の中で呟く。
「オマエ……その得物、ランサーのサーヴァントか」
蒼銀の騎士は問う。獣革の偉丈夫へ。
「いかにも。私はランサーのサーヴァント。この戦に、我が魂を振るわせる一瞬のあることを願う者」
にやり、と口角を上げると、ランサーを名乗った男は、大地に突き立てた大槍を抜きはらった。
そしてグレーシャが瞬きを終えた時には――
既にセイバーは抜刀し、駆け出して。
ランサーもまた、進撃していた。
互いの武器がぶつかる。轟音。雷と聞き紛うほどの。閃光。此処が戦場であると、証明する。
最初の打ち合いで、大地が割れた。
数秒の後互いに武器を放し、再び。二合目。今度は、周囲のビルの下層、その窓が粉々に吹き飛んだ。
慄く。これが、聖杯戦争か、と。
畏敬する。これが、遥かな過去にありて、人類史にその名刻みし英雄たちの戦いか、と。
心の底から楽しそうに武器を振るうランサー。一切の感情を見せずに剣を振るう、セイバー。
互いに大きく弾き合うと、後退。
ランサーが再び構える。彼は、戦闘を止める気はないのだろう。
セイバーは、どうするのか。グレーシャは、彼の方を向いた。場合によっては指示を出さなくては。先ほどの打ち合いにおいては、セイバーが微妙に不利に見えた――
――が。
その心配は、直後に杞憂となった。
セイバーが、構え方を変えた。黄金の聖剣を、両手で、しっかりと握る。
ズン、と地を踏む。震脚。彼の足もとの大地が、放射線状に割れた。
「ォォォ……」
地の底から響くような、深く、罅割れた声。セイバーの、これまでの若々しい声とは対極。まるで―――まるで、死霊か何かのような。
「オォオォオオオオオオオ!!!!」
絶叫。大地が爆発し、セイバーの身体は一瞬でランサーに肉薄する。猛烈なラッシュ。黄金の剣を重々しく振り回すセイバー。しかしそれは決してめったらやたらな暴走ではなく、一つづつ、確実に、ランサーの退路を奪っていく切り方。ランサーが目を見開く。グレーシャもまた、まるで人が変わったかのような猛攻に、唖然として声を失う。
「は、はは、ははははは!!」
ランサーはそれらを受けてなお、荒々しく、そして心底嬉しそうに、笑う。
「素晴らしい……素晴らしいな! 貴様、恐らくはセイバーのサーヴァントか! 貴様のような猛者と、この戦争において最初の戦を繰り広げることが叶ったことを、私は――いや……『俺』は神に感謝する!!」
――ハイル・ヴォーダン!!
ランサーはそう叫ぶと、巨槍を振り回し、穂先にて聖剣と打ち合い始めた。
ランサーが大地を踏みしめ、豪快に槍をスイングする。セイバー
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