British Rhapsody 〜赤城〜
Conversation with my Lover
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ージを与えたようだ。先程から腹部のむかつきが収まらない。たまらず口を開き、腹部から持ち上がってきたものを吐いた。口から吐き飛んだものは、吐瀉物ではなく血液。先程のロドニーさんのように、内臓にダメージを受けたようだ。口の中に、生臭い鉄の味が残留した。
「貴公こそな……ゼハァー……三式弾の直撃で沈まんとは……」
周囲に浮遊して、私の視覚を阻害していた水煙が落ち着いた。その先に立ち尽くす、ロドニーさんの満身創痍の姿。プレートメイルは雷撃でズタボロに砕け散り、剥き出しになった彼女の身体は血塗れだった。ガクガクと震える両足で海面に立っているが、あれは武者震いではない。疲弊した身体に鞭打って、なんとか立っている証拠だ。
「あなたも……あの本数の魚雷で沈まないなんて……ゴフッ……」
「お褒めいただき……ゲホッ……光栄だ……」
額が痛い。右手で触れてみると出血している。ロドニーさんの頭突きで切れたのか。
「いいんですよ? ゴフッ……終わっても……フフッ……」
「だな。フフッ……そろそろ、終わってもいいかもな……ハァー……」
「名残惜しいですね。久々の……ゲフッ……フフッ……こんなに、楽しい戦いなのに」
「だなぁ……久しく、心躍る戦いだ……ゴホッ……」
私は立ち上がる。身体は傷だらけ。内も外もダメージが蓄積している。体力もない。あと数回、ロドニーさんの攻撃を受けてしまったら……冗談ではなく私は轟沈してしまうだろう。
それはきっとロドニーさんも同じだ。彼女もまた、息も絶え絶えに、ランスの砲塔を両手で支えていたが……もはや両手ですらそれを持ち上げられないほどに疲弊しているようだ。彼女は砲塔をその場に力なく落とした。
互いがまさに満身創痍。私たちはもう、すでにどちらが轟沈してもおかしくない状況に陥っていた。戦う前はあれだけ互いを『轟沈させてみろ』と挑発したが、まさかロドニーさんに撃沈される結末を迎えることになるかもしれないとは……そして、まさか彼女を轟沈させてしまうかもしれない事態になるとは……ロドニーさんがここまで強く、そして轟沈させてしまうほど弱いとは思ってなかった。加えて、彼女によって轟沈してしまうかも知れないほど、自分が弱いとは思ってもなかった。私は、自身をもっと強い艦娘だと思っていた。
私たちが相手のことを過小評価していたのか……それとも自分のことを過大評価していたのか……それは分からない。きっと答えは出ないだろう。とにかく私たちは、相手と自分の評価を誤っていた。
だが今、私とロドニーさんの間には、心地いい春風が駆け抜けていた。今、私たちは充実している。深海棲艦たちと和解し、戦いが終わったあの日から……いや恐らくは、彼女と初めて出会ったあの日から、私たちがずっと渇望し続けた、彼女の言うところ
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