British Rhapsody 〜赤城〜
Conversation with my Lover
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ではなく、避けられない状況を自分で作りなさい
それが、航空母艦の艦娘である私たちの戦い方です
十数機の艦攻隊が私とロドニーさんを取り囲み、私たちに向かって雷撃を放つ。このまま魚雷がロドニーさんに命中するまで、彼女をこの場に固定する。
「クッ……ガァアッ!!」
ロドニーさんの左手が、私の顔を鷲掴みにする。その左手に残る彼女の血が私の顔にべっとりとなすりつけられた。猛烈な強さで私のこめかみが締め付けられるが、私は彼女の拘束を緩めない。
「無駄です! これで終わりです!!」
「ァァア……ガァッ!!」
彼女の右手もまた、ランスを握ったままバタバタとのたうち回っている。だがもう遅い。砲塔は壊れている。接近する魚雷はあと数秒でロドニーさんに届く。このまま彼女を固定し続けていれば、この死闘は私の勝ちだ。
私の耳と、きっとロドニーさんの耳にもけたたましく鳴り響いているはずの魚雷接近警報。360度全方位から、私たちに向かって放たれた魚雷は、まっすぐに私と……そしてロドニーさんに向かって直進している。あと少し。あと少しで……
――ガチャリ
どこかで聞いた音が聞こえた。いつ聞いた音なのかが妙に気になる。フォトアルバムをめくるように記憶を懸命にたどる。この死闘が始まるときだったか? それとも深海棲艦さんたちと和解した日? それとも……ロドニーさんと初めて会った日だった……?
妙に急き立てられ記憶を辿る私の左脇腹に、冷たい感触が走った。脇腹を見る。ロドニーさんの損壊したランスの砲塔が、私の脇腹に向けられていた。
――クソッ……私だけでも……お前を沈める!!!
思い出した。あの音は、三式弾の装填音だ。彼女が集積地さんに砲撃した時に、意識せず聞いた、あの音だ。
彼女を拘束していた両手を離し、慌てて彼女の身体から離れようとした。身体を左に捻ったその瞬間に、彼女の砲塔が火を噴く。射出された三式弾の砲弾が、私の左脇腹の防具を直撃した。
至近距離での三式弾の直撃を受けた私の身体は、その反動で宙を舞った。グルグルと回る私の視界の片隅に、海面で横たわったままのロドニーさんの笑顔が見える。その顔は次の瞬間、十数本の魚雷の直撃を受けた。彼女を中心に水柱が上がった直後、私の身体は投げ捨てられた操り人形のように、無造作に海面に打ち付けられた。
「グクッ……ロド……ごふっ」
「アカ……ギィッ……」
水しぶきの向こう側に、立ち上がるロドニーさんの身体が見えた。彼女はまだ轟沈しない。力が戻らない身体に鞭打って、私は渾身の力で片膝をついて身体を立てる。腹部がムカムカし、胃袋の中が持ち上がった。
「しぶとい……ですね……ゴフッ……」
左脇腹への三式弾の直撃は、私の身体に思った以上のダメ
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