British Rhapsody 〜赤城〜
Conversation with my Lover
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こもり、私の右肩に食い込んだ。ランスが私の身体に向けられる。……違う。これはランスではない。
「貴公こそ、私が戦艦であることを……ゴフッ……忘れるな」
「まだ動け……」
「これはランスではない……主砲だ」
慌てて主機を回し後退しようとするが、彼女の左手がそれを許さない。身体をその場で左に回し、立ち上がって距離を取ろうとするが、彼女の左手の拘束が強すぎる。ランスがこちらの身体に向けられる。中は三式弾。この距離で砲撃されればひとたまりもない。
「喰らえアカギ……ッ!」
全力でロドニーさんの左手を払い、彼女の拘束を解いた。だがすでに砲塔はこちらに向けられている。急いで距離を取り、右半身を彼女に向ける。血を吐いたロドニーさんが引き金を引いた。反動で少しだけ私からそれた砲塔から、三式弾の真っ赤な雨が放たれた。
「……クッ!」
三式弾は私から若干射線が外れたが、それでも私の身体にダメージを与えた。炎は変わらず私の肌と髪と服を焼き、衝撃は私の鎧と甲板に傷をつけた。衝撃は頭にも届いたらしい。右のこめかみがガンガンと痛む。
「クッ……」
寸前のところで距離を離し右肩を向けて半身に構えたおかげで、致命傷は免れた。しかし無傷ではない。盾代わりにした甲板は砕けた。故に艦載機が発艦出来ない。空母としてこの損傷は致命的だ。
「ゴフッ……!」
そして、砲撃の強烈な衝撃は、敢行したロドニーさん自身にもダメージを与えたようだ。すでに私の掌打でダメージを負っていた彼女の内臓は、今の砲撃でさらに揺さぶられたらしい。ロドニーさんは再度吐血し、左手で口を押さえて片膝をついた。口を押さえた左手の指の隙間から流れる血の量が、ダメージの大きさを伝えている。
「ゴフッ……ゴフッ……アカギ……フフッ……」
「フフッ……ロドニーさん……」
……自然と口角が持ち上がる。天龍二世さんを口説き落とした時とは違う性質の胸の高鳴りが、私の心に愉悦の感情をもたらした。
「……どうしたアカギ……フフッ……」
「あなたこそ……ククッ……」
ロドニーさんも笑っていた。目を見開き、まるで好物を前にした少年のように、ニコニコと上機嫌で笑っていた。まるで豪華な衣装を与えられた少女のように、目をキラキラと輝かせていた。
そして、恐らく私も今、同じ笑顔を浮かべている。ロドニーさんと同じように目をキラキラと輝かせ、上機嫌で微笑んでいることだろう。
「フフフフ……ゴフッ……このロドニーとの死闘は、楽しいか?」
三度目の吐血を抑えながら、それでもロドニーさんは心底嬉しそうに、笑顔で私に問いかけた。『私も楽しい』彼女の輝く眼差しは、私に雄弁にそう伝えていた。
認めよう。私は今、彼女との死闘を、この上なく楽しんでい
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