British Rhapsody 〜赤城〜
Conversation with my Lover
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……!」
私は自分の主機の回転を上げたが、彼女の突進力の前では無力だ。知らぬ間に近代化改修を受けていた彼女の主機は、爆発的な加速を生み、彼女の身体を信じられないスピードで私の眼前へと突き飛ばした。ロドニーさんは今、馬上でランスを構えて草原を駆け抜ける騎馬隊のチャージのように、信じられないスピードでこちらとの距離を詰めている。
「貴公に槍を突き立てる日を待ちわびたぞアカギ!!!」
「……ッ!!」
ともすると駆逐艦の電さんにも匹敵するスピードで、ロドニーさんがランスを前方にかまえて突進してくる。ランスの先端は、寸分違わず私の胴に……心臓に向けられている。
「……クッ!」
「アカギィィイイイイッ!!!」
私はランスの狙いを外せず、後退しかできない。彼女の突進のプレッシャーが凄まじく、左右の逃げ道を見えない壁で塞ぐ。私は後退しかできない。左右に避けられない。弓が撃てない。狙えない。逃げ切れない。捌けない。
ならば迎え撃つ。
ロドニーさんのチャージが私の身体に届く寸前、私は弓を右手に持ち替え、主機を逆回転して自身の後退にブレーキをかけた。そのまま姿勢を下げ、左手の掌を前につきだし、彼女のみぞおちを鎧越しに打ち据える。
バゴンという鈍い音と、私の左手に伝わる鈍重な衝撃。私の左手は鎧にめり込み、内側のロドニーさんの肉体にまで届き、彼女の内部に衝撃の波によるダメージを与えた。
「……ッ」
「あなたこそ、距離をつめた私を甘く見ないでください」
「……ゴフッ」
ロドニーさんが口から血を吐いた。私の掌打の衝撃は、彼女の腹部に確実にダメージを与えたようだ。金属の鎧そのものは衝撃に強く頑丈だが、その衝撃は身体にも届きダメージを与える。
「……ッ」
「私は航空母艦ではない。航空母艦の艦娘です」
「アカ……ゴフッ……」
加えてロドニーさんのあの突進力で、私の掌打の威力は倍加される。倍加された掌打の威力は、彼女の鎧に私の掌の痕をくっきりと残すほどめり込み、内側の空間を隔てていたはずの彼女の身体へも届き、ダメージを与えた。
「あなたは空母である私に気を取られすぎていた。私が艦娘であることを忘れていた」
「……ごほっ」
彼女の吐血が止まらない。内臓にダメージを負ったようだ。勝敗は決した。いささかあっけない幕切れだったが……
「……やっと捉えた」
「?」
ガシャリという音とともに、私の右肩に重い感触が走る。ロドニーさんの左手が、私の右肩を掴んでいた。私の頭上にある彼女の顔を見上げる。彼女は大量の血を滴らせた口を歪ませ、目を見開いていた。
「捉えたぞアカギ」
「……あなた……」
「撃沈したと思ったか? ……それこそ慢心というやつだ」
彼女の左手に力が
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