暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
British Rhapsody 〜赤城〜
Conversation with my Lover
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 実戦の時と同じ弓と艦載機、そして弓道着をまとった私が演習場に到着した時、すでに海面上でロドニーさんは静かに待機していた。私と同じくプレートメイルを身にまとい、右手で巨大なランス型の砲塔を持つ彼女は、目を閉じて静かに私の到着を待っていたようだった。

「……」

 逸る気持ちを抑え、私も海面に立ち、演習場へと入る。周囲の観覧席には、戦艦棲姫さん以外の見物客はいない。流れ弾で怪我をする者が出ないように……という提督の図らいとのことだ。私たちも余計な心配をせずに済む。

 フと疑問が思い浮かび、戦艦棲姫さんに問いただしてみた。彼女はなぜここに留まっているのだろう?

「戦艦棲姫さん」
「なんだ?」
「あなたはここにいていいんですか? 流れ弾が危険ですよ?」
「私は見届け人だ」
「なるほど」
「それに、お前らごときの流れ弾で、この私が沈むわけがない」

 言ってくれる。この人も私たちを挑発するか。ならば勝手にすればいい。私とロドニーさんの流れ弾で怪我を負っても私たちは知らない。

「ロドニーさん」
「……アカギ」

 私の呼びかけを受け、ロドニーさんは静かに鋭い両目を開いた。久しぶりに見る彼女の鋭い両の目が私に視線を向けられるだけで、強大なプレッシャーを感じる。ロドニーさんから吹きすさぶ強大な突風のような重圧は、気を抜けば私を吹き飛ばしてしまいそうな勢いだ。

 だが私も負けてはいない。目を開いたロドニーさんの姿勢は、先ほどに比べてやや前傾姿勢になっている。私がロドニーさんにぶつけた殺気を彼女は受け止めているようだ。

「カブトはどうしたんですか?」

 戦闘時につけているカブトを今日は装着していないロドニーさんに対し、私は純粋な疑問をぶつけてみたが、彼女にとってその質問は愚問だったようだ。

「いらん」
「へぇ……いいんですか?」
「アーメットを装着しなかったことを、私に後悔させてみるがいい」

 ロドニーさんはそういい、口角をあげていた。なるほど。いちいち私を挑発しなければ気がすまないか。それでこそロドニーさんだ。潰し甲斐がある。

 口角を上げているロドニーさんが、ランスの砲塔を大海原に向けた。ガチャリという砲弾が装填された音が聞こえ、次の瞬間、彼女の咆哮ともいえる砲撃音が周囲に鳴り響いた。

 ロドニーさんの砲塔から射出された砲弾は、砲塔から出た途端に数多の細い火花となって周囲に飛び散った。柳の花火のように美しい光だが、その美しさは私たち航空母艦と航空隊にとっては、天敵といえる。

「……三式弾だ」
「……」
「私の三式弾の破壊力がいかほどのものか……貴公は知っているな?」

 よく憶えている。集積地さんを轟沈寸前まで追い込み、電さんを戦闘続行不可能に陥らせた、強力な砲弾だ
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