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フロンティアを駆け抜けて
幽玄なるチャンピオン
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うですか……ともかく、止めてくれて助かりました。さすがあなたの孫であり彼の息子というべきか、手ごわい相手でしたので」
「彼は我々が手塩にかぁーけて育てた将来最強のトレーナーですからねえ。計算ではあぁーなたに勝てる可能性も既に存在はします」
「それは私も、気が抜けませんね。エメラルドからは、ヴァーチャルと戦わせ続けたと聞きましたが……」

 博士と呼ばれた老人の言い方はなんだかダイバを物扱いしているようにも聞こえた。でも、父親がすらすらと会話をしてしまうのでやはり口を挟む隙がない。それからもいくつか言葉を交わしていたが、ヴァーチャルポケモンのシステムとか、メガシンカのシンクロレベルがなんとかとか、よくわからない内容だ。

「……では、娘の話も聞きたいですので、私たちも失礼します。行こうか、ジェム」
「は、はい……お父様」
「あぁ、そぉーいえばその子がお前の娘ですか。ダイバが話していたよりは、随分大人しそうに見えまぁーすねえ」
「え……ダイバ君が、私のことを?」
「おぉーっと、これ以上話すと我が孫に怒られてしまいまぁーすねえ。老いぼぉーれが口を滑らせる前に退散するとしましょう」

 わざと話を切り、老人は椅子に座ってまま空を飛んでいった。そして、ジェムと父親だけが残される。

「さて、予想よりずいぶん慌ただしい再会になってしまった。まずは落ち着いて話せるところに行こうか、ジェム」
「うん、あのね……私、お父様に聞きたいことが出来たの」
「……そうか、わかった」

 彼はジェムの頭に手を乗せ、優しく撫でた。昔から家に帰ってきた時には必ずしてくれた仕草は、やはりジェムを安心させるものだった。昨日までの自分なら、さっきまでの不安などすべて吹き飛んでしまったかもしれない。だけど――

「おっと、どうやら事態は片付いたみたいだね。ついでに僕も一緒に行っていいかな?」
「ジャックさん! うん、お願い……」
「お願いします。その方がジェムも、安心して話が出来そうだ」

 スイクンに乗って戻って来たジャックにジェムは駆け寄る。それが今のジェムの心境を何より現していた。
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