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フロンティアを駆け抜けて
幽玄なるチャンピオン
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タグロスの4つの拳が流星群のように一斉にメガジュペッタやチャンピオンの元へ飛んでくる。メガジュペッタが躱してもそのままチャンピオンやジェムを狙えるように計算された拳の軌道には、一切の加減がない。以前受けた鉄の拳の痛みを思い出してジェムは強張る。

「ジュペッタ、『ゴーストダイブ』だ」

 メガジュペッタは、自身を覆う黒い布と同じ見た目の黒マントをばさりと広げ――ジェムとチャンピオンを覆った。ジェムの視界が真っ暗になる。それでも父親とそのエースであるメガジュペッタが守っていてくれることに、不安はなかった。事実、凄まじい勢いで飛来する鉄の拳がジェムを襲うことはなく。自分の体が、エレベーターに乗っているときのように移動している感触がする。

「あれ?ここは……」

 ジェムの視界が開けると、さっきの場所とは少し離れた街灯の下であり、アルカのすぐそばに移動していた。メガジュペッタの『ゴーストダイブ』でジェムとチャンピオンを影を伝って移動させたらしい。アルカがいきなり隣に現れたジェムとチャンピオンにぎょっとする。

「……何故こっちに来たのです」
「メガメタグロスは勝利の為なら手段を選ばない。君を狙うことで私の隙を作ろうとするかもしれないからね。あらかじめ守りやすい場所に移動させてもらったよ」
「わたしはあなたに守られる覚えはありません」
「そうもいかない。バトルを見る皆を笑顔にするのがチャンピオンの役目だ。君が傷つくことがあってはいけないからね」

 皆を笑顔にすると誓ってチャンピオンになった彼が、今でも実現し続けている信念。ジェムが憧れ続けた理想。それを聞いたアルカは、苦虫を噛み潰したような顔をした。

「そんなまやかしの笑顔なんかのために……あの人は……!」
「あの人……? アマノさんのこと?」
「あなたには話してないのです!」

 ぴしゃりと否定されてしまう。ジェムがアルカに捕まって話を聞いた時、アルカには身寄りがなく、アマノが彼女を拾ったと言っていた。そしてアルカはアマノに良い感情を持っているようには見えなかったが、今の言葉には決して他人事ではない怒りと、怨みが籠っていた。それを聞いたチャンピオンは視線を落とし、声をかける。

「怨みたいのならそうすればいい。それでも、私は皆に笑顔になってほしい」

 酷く冷たい言葉に聞こえた。ジェムの父親は自分を恨む相手を否定しない代わりに、事情を聞くつもりもまったく無いようだった。

「お父様! アルカさんには事情があるの、だから……」
「何もわかってないお前は黙ってろです!」
「……僕を無視してそっちだけで話をするな! メタグロス、『地震』!!」

 ジェムが思わず父親にアルカの事情を訴えようとしたが、アルカとダイバそれ
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