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フロンティアを駆け抜けて
幽玄なるチャンピオン
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うことが出来なかった。どんな顔をすればいいのかわからなかった。それを察したのか、チャンピオンも後でゆっくり話そう、とだけ言ってダイバに向き直る。

「僕はお前を超える……倒す……お前を、引きずりおろさなきゃいけないんだ……!」

 怒りに煮えた言葉はチャンピオンに、向けられていたが、彼の緑色の瞳は間違いなくジェムを見ていた。いつもは目深に被った帽子のせいで見ることのできないダイバの瞳が、自分の目と交差したのがジェムにだけはわかった。ダイバはメタグロスの方へ腕を伸ばし、腕にはめたキーストーンの力を使う。

「メタグロス、いつまでそうしているつもりだ。本気を出せ。……真の力であのチャンピオンを叩き潰すんだ」
「グォ……」

 メタグロスは主であるダイバに何かを訴えているようだ。機械の駆動音のような声はジェムには意図はわからない。だがチャンピオンには理解できたようで、まるで家族に向けるような優しい言葉をかけた。

「お前も本当に強くなったな。その子についているということは、あいつも自分の子供に信頼できる仲間を託した。そういうことだろう?」
「グォオ。ゴ」
「遠慮はいらない。お前がその子に従うと決めたのなら、彼の命令に躊躇する必要などない。……それに、私もお前の本気を見てみたい」

 メタグロスは少し沈黙した。スーパーコンピュータより優れるその頭脳がフル回転する。キーストーンとメタグロスの体が高圧の電流と共に輝き、鉄足を縛る釘が焼き切れていく。


「どういうつもりか知らないけど、僕の本当の力を見せてやる……パラレルライン、オーバーリミット! テトラシンクロ、レベルマックス! メガシンカよ、電脳の限界を解き放ち究極の合理へ突き進め!!」


 この島のどこかからロケットでも打ち上げるような射出音がして、一体のメタングと二体のダンバルがメタグロスに向かって飛来する。優れた電脳による並列思考は、本来別の頭脳であるメタグロスとメタング、ダンバルを合体させた。完全に体は浮き上がり、さらに大きくなった鉄腕がまるで砲台のように4つ前に突き出される。ダイバを守るためにいつもそばにいたメタグロスは、冷徹に勝利を目指すメガメタグロスへと姿を変貌させていた。

「ほう……これが成長したお前の姿か」
「お父様は、ダイバ君のメタグロスを知ってるの?」
「ああ。私が旅に出たばかりで、あのメタグロスがまだダンバルだったころ。手持ちに連れていたポケモンだからな」

 ジェムは父親がゴーストタイプ以外のポケモンを連れていた話など聞いたこともなかった。それがどうしてダイバの手に渡ったのかは気になるが、これ以上聞いている余裕はなさそうだった。

「……その余裕もここまでだ。『バレットパンチ』!」

 メガメ
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