186部分:暗黒教団その三
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軍の力で暗黒神の世が復活する事を阻止するつもりだったのだ。・・・・・・私の素性もいずれ明かそうと思っていた。・・・・・・信じて欲しい」
セイラムが語り終えたのを見計らいイシュトーが口を開いた。
「このサラの母は父マンフロイの反対を押し切りある若者と駆け落ちした。だがすぐに見つかり目の前で恋人を父に殺され連れ戻された。母もサラを産んでから暫くして悲しみのあまりこの世を去った。この娘は祖父に両親を殺されたのだ。それからはマンフロイに育てられたが両親を殺した祖父や暗黒教団の教義を嫌い密かにある司祭の教えを受けシスターとなった。そして卿等を挟撃する軍を得ようとしてミレトスに入りペルルークの森で暗黒教団の者と出会った私の前に現われ私にあの教団の存在を教えてくれたのだ。サラなくして今の私はないだろう」
「・・・・・・・・・」
一同はイシュトーのその言葉に沈黙し動きを止めた。イシュトーが嘘を言っていないのはわかる。サラが悪い人間ではないこともだ。だが何か心に妙なしこりが残っていた。
「皆マイラの話は知っているだろう」
レヴィンが語りはじめた。
「ロプト帝国の皇族でありながらその虐政に苦しむ民衆の為に立ち上がり帝国に反旗を翻した聖戦士マイラ。さっきも話に出て来たな」
一同その言葉に頷いた。彼が何を言わんとしているかもわかった。
「暗黒教団の教義は確かに邪悪なものだ。ユリウスやマンフロイのような者もいる。だがマイラのように教団の誤りに気付き民衆を救う為に戦った者もいるのだ。それを忘れないで欲しい。もし忘れたならば我々も暗黒教団やホプキンズのような異端審問官と同じになってしまうだろう」
まずセリスが二人に歩み寄った。そして最初はセイラムの、そしてサラの手を両手で強く握り締めた。
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