Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
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、第三王子? と、その騎士団にがっちり護られてる私ですが、やれると思うんならいつでもお好きにどうぞ。ただし、貴族の私と一般民のアルフィン、どっちが先に抹殺されるか、よく考えて行動してね」
イオーネの、歯を食い縛る音がやけに大きく聴こえた。
怖い。
でもそれは、アルフィンを大切に想っているからこその憎しみ。
冷や汗は止まらないが、アルフィンの友達としては、嬉しくも感じる。
アルフィンはイオーネを受け入れた。
イオーネも、アルフィンだけは傷付けない。
イオーネが居てくれるなら、グレンデルが漁に出ている間、アルフィンは一人じゃなくなる。
もう、波打ち際にたった一人で立ち竦まなくて良いんだ。
失わせたくはない。
「そんなわけで、イオーネにアルスエルナはどうこうできません。私自身は一生狙われるかも知れませんけど。尋きたいことは以上ですか? 神父様」
「……ええ。よく、解りました。ミートリッテさん、貴女は今」
アーレストの頭がイオーネの肩を離れ、王子と目を合わせて頷き合い。
二人同時にミートリッテを見て、柔らかく微笑む。
「「選んだ」」
「へ?」
「ミートリッテ=インディジオ=リアメルティ。貴女に女神アリアの祝福と裏返しの嘆きを託します。私の言葉を復唱してください」
「え? え?」
「我、女神アリアの愛を乞い願う者」
「わ、我、女神アリアの愛を乞い願う者?」
王子とアーレストの急な温かい眼差しに疑問をぶつける間も与えられず。
指示された通りに唇を動かす。
「我、女神アリアに赦しを請い願う者」
「我、女神アリアに赦しを請い願う者」
「人の世の名を返上し、身命を賭して教えをまっとうする」
「人の世の名を返上し、身命を賭して教えを……まっとう、する?」
ちょっと待て、何かおかしくないか。
名前を返す?
「はい、結構です。私、アーレスト=ブラン=メルキオーレが託されている『アルスエルナ教会の大司教を選定する権限』により、貴女は本日をもってミートリッテ=ブラン=リアメルティと名を改め、アルスエルナ教会の次期大司教プリシラ=ブラン=アヴェルカインの第一補佐、及び戦士の指揮者に就任しました。実質、次世代の次期大司教。つまり、二代後の大司教です。貴女の優しさと強さで、どうかアリア信仰を善き方向へとお導きください」
「……………………………………………………は?」
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