暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
、第三王子? と、その騎士団にがっちり護られてる私ですが、やれると思うんならいつでもお好きにどうぞ。ただし、貴族の私と一般民のアルフィン、どっちが先に抹殺されるか、よく考えて行動してね」

 イオーネの、歯を食い縛る音がやけに大きく聴こえた。
 怖い。
 でもそれは、アルフィンを大切に想っているからこその憎しみ。
 冷や汗は止まらないが、アルフィンの友達としては、嬉しくも感じる。

 アルフィンはイオーネを受け入れた。
 イオーネも、アルフィンだけは傷付けない。
 イオーネが居てくれるなら、グレンデルが漁に出ている間、アルフィンは一人じゃなくなる。
 もう、波打ち際にたった一人で立ち竦まなくて良いんだ。
 失わせたくはない。

「そんなわけで、イオーネにアルスエルナはどうこうできません。私自身は一生狙われるかも知れませんけど。尋きたいことは以上ですか? 神父様」
「……ええ。よく、解りました。ミートリッテさん、貴女は今」

 アーレストの頭がイオーネの肩を離れ、王子と目を合わせて頷き合い。
 二人同時にミートリッテを見て、柔らかく微笑む。

「「選んだ」」

「へ?」
「ミートリッテ=インディジオ=リアメルティ。貴女に女神アリアの祝福と裏返しの嘆きを託します。私の言葉を復唱してください」
「え? え?」
「我、女神アリアの愛を乞い願う者」
「わ、我、女神アリアの愛を乞い願う者?」

 王子とアーレストの急な温かい眼差しに疑問をぶつける間も与えられず。
 指示された通りに唇を動かす。

「我、女神アリアに赦しを請い願う者」
「我、女神アリアに赦しを請い願う者」
「人の世の名を返上し、身命を賭して教えをまっとうする」
「人の世の名を返上し、身命を賭して教えを……まっとう、する?」

 ちょっと待て、何かおかしくないか。
 名前を返す?

「はい、結構です。私、アーレスト=ブラン=メルキオーレが託されている『アルスエルナ教会の大司教を選定する権限』により、貴女は本日をもってミートリッテ=ブラン=リアメルティと名を改め、アルスエルナ教会の次期大司教プリシラ=ブラン=アヴェルカインの第一補佐、及び戦士の指揮者に就任しました。実質、次世代の次期大司教。つまり、二代後の大司教です。貴女の優しさと強さで、どうかアリア信仰を善き方向へとお導きください」

「……………………………………………………は?」



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ