Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
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て。
図々しい? 恥知らず? 厚かましい?
上等だ。いくらでも呆れれば良い。嫌われたって、それがどうした。
みんなを助けられるなら、自尊心も自衛心も喜んでかなぐり捨ててやる。
そんな気持ちで、耳奥に破裂しそうな鼓動を聴きながら。
アーレストの横目を覗いて、彼の答えを待つ。
「……何故?」
「え?」
動きはないが、無視はされなかった。
ほっとする反面、疑問の意味が解らず首をひねる。
「イオーネさんはアルスエルナを不要な物、邪魔な物としか見ていません。ここで彼女を助けても、いずれまた様々な手で襲いかかってくるでしょう。監視を名目にして権力者の近くで匿えば、更に細かく正確な国内外の情報を集めやすくなる。今度は確実に叛乱の烽火を上げますよ。他国をも巻き込む大河の如き奔流。貴女の力で止められるとは思えません。厄介事の種を好き好んで育てるより、多少強引にでも今のうちに朽ちさせておいたほうが、後々安全なのではありませんか?」
「……神父様、なんか印象が変わってませんか? 柔らかく表現したつもりかも知れませんが、要はここで殺しておいたほうが良いって話ですよね? めっちゃくちゃ物騒なんですけど。聖職者のセリフですか、それ」
「事実を口にしているだけです」
いや、事実だろうがなんだろうが、慈愛を謳う女神に仕える神父が子供に殺人を推奨しちゃダメだろう。怪我人の首を絞め続けてるのもどうなんだ。
体勢のわりに、苦しそうではないけども。
「……なら、私も事実だけを口にします。今後、イオーネにアルスエルナは決して滅ぼせません。きっかけを作ることも、絶対に不可能です」
「根拠は?」
「イオーネも私の『わるぅーい寝癖』を知ってるから」
王子へちらりと目を走らせた途端。
視界の隅できゃんきゃん喚いてたイオーネが、青白い顔で絶句した。
……察しが良いな。
「ね、イオーネ。王族と国軍は今回の件であなたの正体も狙いも把握した。あなたが護ろうとしたものにも当然、鉄壁の『守り』が付くよ。けど、私は『守り』に弾かれないから。あなたがしっかりしてないと、内側でうっかり「眠いーっ」とか口走っちゃうかもね?」
「お前……っ お前は??」
親の仇を見る目って、こういう物を指すんじゃなかろうか。
視線が痛い。ついでに、濃厚な殺意入りの刺々しい声を拾った耳も痛い。
恐怖で脳と心肺機能が停止しそうだ。
直には見ない。見てはいけない。
「なんとでも言えば良いよ。決めたのはアルフィン自身だし私も退かない。諦めない。ただ、同じ道を進むだけ」
「殺してやる……! 必ず! お前を殺してやる??」
「第二王子の後ろ盾を持つ領主の後継者で、えーと、三の隊? だっけ? だから多分
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