Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
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目だろう。怪我人の首をずっと絞め続けてるのもどうなんだ。体勢の割りに苦しそうではないけども。
「……なら、私も事実だけを口にします。今後、イオーネにアルスエルナは決して滅ぼせません。切っ掛け作りも絶対に不可能です」
「根拠は?」
「イオーネも私の「わるぅーい寝癖」を知ってるから。」
王子へちらりと目を走らせた途端、視界の隅できゃんきゃん喚いていたイオーネが青白い顔で絶句した。察しが良いな。
「ねえ、イオーネ? 王族と国軍は今回の件であなたの正体も狙いも把握した。あなたが護ろうとしたものにも当然、鉄壁の「守り」が付くよ。けど、私は「守り」に弾かれないから……あなたがしっかりしてないと、内側でうっかり「眠いーっ」とか口走っちゃうかもね?」
「お前……っ お前はッ!」
親の仇を見る目って、こういう物を指すんじゃなかろうか。視線が痛い。ついでに、濃厚な殺意入りの刺々しい声を拾った耳も痛い。恐怖で脳と心肺機能が停止しそうだ。直には見ない。見てはいけない。
「なんとでも言えば良いよ。決めたのはアルフィンだし、私も退かない。諦めない。ただ、同じ道を進むだけ」
「殺してやる……! 必ず! お前を殺してやる!!」
「第二王子の後ろ盾を持つ領主の後継者で……えーと、三の隊? だから多分、第三王子? と、その騎士団にがっちり護られている私ですが、やれると思うんならいつでもお好きにどうぞ。ただし、貴族の私と一般民のアルフィン、どっちが先にお父様の手で抹殺されるか、よく考えて行動してね」
イオーネの、歯を食い縛る音がやけに大きく聞こえた。恐い。
でもそれは、アルフィンを大切に想っているからこその憎しみ。冷や汗は止まらないが、アルフィンの友達としては何処か嬉しくも感じる。
アルフィンはイオーネを受け入れた。イオーネも、アルフィンだけは傷付けない。
イオーネが居てくれるなら、グレンデルが漁に出ている間、アルフィンは一人じゃなくなる。
もう、波打ち際にたった一人で立ち竦まなくて良いんだ。
失わせたくはない。
「そんな訳で、イオーネにアルスエルナはどうこうできません。私自身は一生狙われるかも知れませんけどね。尋きたい事は以上ですか? 神父様」
「……ええ。よく、解りました。ミートリッテさん、貴女は今」
アーレストの頭がイオーネの肩を離れ、王子と目を合わせて頷き合い……二人同時にミートリッテを見て柔らかく微笑む。
「「選んだ」」
「へ?」
「ミートリッテ=インディジオ=リアメルティ。貴女に女神アリアの祝福と、裏返しの嘆きを託します。私の言葉を復唱してください」
「え? え??」
「我、女神アリアの愛を乞い願う者」
「わ、我、女神アリアの愛を乞い願う者?」
王子とアーレストの急な温かい
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