Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
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ヘンスの生母は私とアーレストの乳母だ。幼少期の関係上、両陛下と私が特別に許している」
(は? アーレスト神父と王子が乳兄弟??)
「許すじゃなくて、一族ぐるみの強制でしょうに……(おかげさまで他家にどれだけ睨まれているか……)」
ベルヘンス卿がうなだれて。
腹部の少し上辺りをさすりながら、重苦しい息を吐く。
後半は小声で呟いたつもりなのだろうが、距離を置いたミートリッテにもバッチリ聞こえている。
(そうか。王子がアーレスト神父と親しげだったのは、そういう……ん? 王族と同じ乳母が付いてた? それじゃ、アーレスト神父も王族に限りなく近い家の生まれ……なの?)
何度じーっくり見直しても、やはり二人の顔立ちや雰囲気は似ていない。
片や、近所の地味なお兄さん。
片や、歌って走る芸術品。
血縁者とは到底思えないが。
「だとしても……元一般民のなりたて貴族もどきが居る場所で披露して良い態度でしたか? 王候貴族の常識に疎い子供が、こうすれば良いのか! と誤認しちゃいますよ? まさか、無知を自覚しているが故に、生粋の貴族を真似て距離感を誤ってしまった者にまで逐一不敬を問うおつもりですか? 親しい貴族だけは例外にして? それこそ暴君、独裁者じゃないかと国民に軽蔑されますよ。出過ぎた物言いを承知で申し上げますが。何事も、初めは形から入るもの。高貴なる方々には是非、常日頃から敬意の払い方などでも正しいお手本であっていただきたいと考えます。本件はベルヘンス卿の過失ということで、お父様の寛大な恩情に期待したいです」
「その理窟で赦されるのはお前だけだ。イオーネは立派な成人で元は子爵に仕えていた侍女。礼儀を知らぬ道理はない」
「真に誇り高き貴族に仕えていたのなら、下で働く者としての礼節に疑問を挟む余地はありません。ですが、お父様は件の子爵をどう評価しましたか。国防を柱とする貴方の目に映った子爵は、一般出のイオーネを正しく導ける良きお手本でしたか? お父様とイオーネの話を総合してみた限りですと、とてもそういう人種には思えませんが」
「少なくとも、王族に殺気を向けたりはしなかったが……まあ、そうだな。追い詰められて愚行に走る短慮さはよく似てるか」
「でしょう? 仮にも暗殺者を名乗るなら、複数の獲物の前に飛び出しちゃダメですよねぇ。バーデル軍が現れるまで身を潜めていれば、私達のほうが圧倒的不利だったのに。暗殺の領域を自分から捨てちゃう残念ぶりですよ。不幸にも、侍女職を通して子爵の愚かな部分を受け継いでしまった、としか思えません。ですが、短時間でも間近で見ていた私なりの感想を述べさせていただきますと、彼女、再教育を施せばアルスエルナ王国にとって戦力面で非常に希少で有益な人材になると思うんですよね。ほら、お父様も先ほど、人材は有
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