暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
としていたハウィスや騎士達の気持ちが、少しだけ理解できた。
 これは確かに、自分一人さえ支えられない子供には残酷な道だ。

 けど、選んだのは紛れもなくアルフィンの意思。
 だったら、歩かせる。アルフィンが自身で進むと決めた未来を。

「では、改めて裁決! よぉ〜く耳を澄ませてお聴きなさい、アリア信仰の神父殺害を企てた無断越境者よ!」

 イオーネに向き直って勢いよく立ち上がり、首から離した刃を天に掲げ


「悪い子には、おしおきっ??」


 イオーネの頭頂部を目がけて、柄頭(つかがしら)を振り下ろす!

「「「…………はい?」」」

 ぺし! と響く、間抜けすぎる音。
 削がれまくった緊張感で一同の目が点になる中、腰に両手の甲を当てつつ胸を張る得意気なミートリッテを見て、王子が首を傾けた。

「終わりか?」
「ええ、一応。一つ気が付いたんですが、力を入れて殴ろうと身構えたら、却って抜けてしまうものなんですね。できれば下を向いて欲しかったのに、彼女の顔は微動だにしてくれませんでした。神父様に首を抱えられてるせいでもあるんでしょうけど、なんか悔しいです」

 一瞬驚き、直後に極悪化した銀色のつり目。
 怖くて堪らないので、もう二度と直接は覗き込みたくない。
 視線が重なる前に顔を逸らし、今度はエルーラン王子と向かい合う。

「お前が臆病なんだろ。人殺しへの罰が拳骨一つとは、ずいぶん軽いな」
「だって、私は、彼女が人を殺す瞬間を一度たりとも目撃してませんもの。商人の殺害に関しては、彼女の犯行を示す物的証拠が手元にありませんし。暗殺組織の首領だっていう話も、実際のところはどうなんでしょうねえ? 他の人達、私の前には全然出て来なかったんですけど。もしかして、本人が「私は暗殺者だぁー」と言ってるだけじゃないですか? アルフィン誘拐と私への脅迫と神父様の殺人未遂は現行犯ですし、貴方に斬られた背中の傷も考慮して裁きましたが……いけませんよ、お父様。満足な証拠もないのに、参考程度の証言だけで鉄槌を下すとか。万が一イオーネが()()暗殺者の頭がちょっと可哀想な女性だったら、貴方の指示と私の決断に対して、一般民が大激怒です。非難囂囂(ひなんごうごう)です。ただでさえ、貴族への風当たりは厳しいのに、王族への反抗心まで量産なんかして、アルスエルナ王国が内側からひっくり返ったらどうするんですか」
「なるほど。では、私に対する無礼な態度は裁かないのか? 王族への礼に欠けた振る舞いは、即刻打ち首にされても仕方がない重罪だぞ」
「それを言うなら、ベルヘンス卿も自分から貴方に声をかけてましたよね。貴族社会では、許しもなく下から上に声をかけるのは不敬だと記憶してますけど、ベルヘンス卿も裁きの対象ですか?」
「ベル
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ