Side Story
少女怪盗と仮面の神父 41
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したってお金が関わる話だもん。体にもすっごく重たいよ。
第一、貴女はまだ就労を認められない子供。貴女に掛かる負担はすべて、保護者であるグレンデルさんの負担になってしまうの。
貴女がイオーネに関係することで苦悩するたび、グレンデルさんも貴女とイオーネのことでたくさん心を砕かなきゃいけなくなる。
ここで半端な覚悟を見せた結果、莫大な負債を抱えたグレンデルさんが、貴女の代わりに死んでしまう可能性も、絶対ないとは言い切れないんだよ?
「それでも? 大好きなお父さんに、今まで以上の苦労を押し付けてでも、ハウィスを止めたい? イオーネの命を救いたい?」
自身の深傷を抉る代わりにミートリッテを護ったハウィスのように。
愛する妻を失ってもなお、血の繋がりを持たないアルフィンを実子として慈しんでいるグレンデルのように。
イオーネが今を生き残り、これから先もずっと生きていく未来の為に。
アルフィン自身の時間と思考と体力を費やせるのか。
その覚悟を、持ち続けていられるのか。
「……ミー姉は」
「ん?」
問いかけてる間うつむいていたアルフィンは、そろりと顔を上げ
「ミー姉は私を……信じて、くれる……?」
恐々と尋ね返した。
(保証が欲しいの? 自分に命を預かれるだけの覚悟があるのか、私の目で判断して欲しいってこと? だとしたら……)
答えない。
不安色に染まっている少女の顔を、ひたすら無言で見つめ返す。
否定もしなければ、肯定もしない。
保証するのは容易い。
アルフィンなら大丈夫だよ! と、一言告げるだけで良い。
しかし、アルフィンが求めているのは『責任の分担』だ。
不都合が起きた際、あの時ミートリッテがこう言ったから信じたのにと、現実から目を逸らす為の口実。
「大丈夫」にせよ、「やめておきなさい」にせよ、誰かに背中を押された事実がある限り、どちらを選んでも彼女自身の答えにはならないのだ。
命を左右するアルフィンの決断に、他者の意思が介入してはいけない。
求められ、支えるべきは、選択の先。
本音では諦めてくれれば良いと思っていても。
今は、アルフィンにすべてを委ねる。
「…………」
早くアルフィンを連れて行け、自分を殺せと喚き散らすイオーネの眼前でくり広げられる、沈黙の攻防戦。
「……ミー姉」
先に声を発したのは、アルフィンだった。
「イオーネさんを助けたい」
「アルフィン??」
この場に居る全員の鼓膜をぶち抜きそうな怒声にもまったく揺るがない、左右で色違いのまっすぐな目線。
迷いは、無い。
「……うん。解った」
ミートリッテを貴族にさせまい
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