MySword,MyMaster
Act-1
#4
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や住居ビルと言ったものが多いということになる。セイバーが人間はいない、と言っていたので、どこかに潜り込むことならできるはずだ。
「ふむ……ならば簡易的な工房にできるような場所が好ましいな」
「はい。私はあまり工房を利用しないタイプの『魔術使い』ですが」
それに、武器の手入れなどができる場所が欲しいのは事実だ。
となると――とセイバーが続ける。
「あまり目立たない廃工場がいいだろう。まぁ全てのビルが廃屋、と言っても良いが、特に『最初から廃棄された建造物として設定されている場所』を選ぶべきだ。叶うならば一階建て」
「破壊工作をされても脱出しやすいですしね」
非常に納得がいく。
聖杯戦争に限らず、気位の高い魔術師がホテルなどを根城にして、それごと魔術師殺しの者に爆破された、などと言う例も少なからず聞くからだ。魔術師とは時計塔のような順当なものだけではない。既に没落したが伊勢巳のように機械文明と融和したり、グレーシャたち束のように、最初から科学と魔術を融合させている存在だっている。
そう言った存在と手合いにはなりたくない、と思いながら歩くことしばらくして、丁度よさそうに埃を被った廃工場を発見。探知魔術などをいくつもかけ、何の工作もされていないことを確認すると、グレーシャとセイバーは中に入った。
二人とも玄関近くに陣取る。もしもの時に脱出しやすいように、だ。
グレーシャはベルトからいくつか魔術的処理を施した短剣を抜き取ると、手入れを始めた。セイバーはその様子から、興味がない、とばかりに目を外すと、窓の外を眺めはじめたようだった。
――しばし、静かな時間が流れる。
裕一といる時も、時々、彼は話題を失って、あるいは意図的に切り上げて、沈黙する。グレーシャとしてはもっと話していたいのだが、裕一は口数こそ多い方だがあまり会話に喜びを見出すタイプではないため、無理に話しかけるようなことはしない。彼に、出来るだけ気分を害してほしくないからだ。
騎士王も、彼と血が繋がっているからなのだろうか? 沈黙を好む性格なのか――と、グレーシャが思った頃。
「ところでマスター」
ふと。
セイバーはこちらを向くと、グレーシャに向かって問うた。白銀の兜に阻まれ、その表情を伺うことは出来ないが、視線はこちらを見ている気がした。
「はい、何でしょうか」
答える。なんだか、ろくなことではない気がする――とグレーシャは直感的に感じた。
直後。その直感は真実であったことが分かる。
「オマエ……あの『王』と呼んでいる金髪の男に、懸想でもしているのか」
「――――――!!?!??!?」
ぼっ、と自分の頬が熱くなるのを感じる。今きっと、セイバーの目に映っている顔は真っ
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