MySword,MyMaster
Act-1
#3
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透明の障壁が展開。セイバーの剣閃によって吹き荒れた突風から、グレーシャと裕一を守り通した。
「ゆ、ゆういち……? ま、護るのはわた、私の役割の筈ですが……!」
「あ……あっ、ご、ごめん雪華……」
風がおさまってから二秒ほどして、グレーシャは真っ赤になっていることが自分でもわかる顔を裕一に向けると思ったことをそのまま告げた。慌てて飛び退く裕一。ちょっとだけ名残惜しい、が、裕一の意識改善に役立つならば良い。彼は時折、このように反射的に魔術を使う。護るべきはグレーシャの方なのに、グレーシャを護る為に魔術を使うのだ。それでは本末転倒である。
――今回も、使わせてしまった。
グレーシャは少しだけ気落ちしながら、セイバーの方を向き直る。
彼は丁度残身から体勢を直したところだった。黄金の聖剣をゆらり、とした構えで右手に下げると、グレーシャと裕一の方を向いて、告げた。
「……間違いないな。これは湖の女神が鍛え、魔術師マーリンが俺に与えた『星の聖剣』だ。まさかそのままの形で残っているとは思わなかったが……これは、俺の宝具だ」
そう言って彼は……左手を突き出した。
まるで水面に腕を挿しいれたかのように、揺らめく左腕。次にその手が引き抜かれたとき――そこには、右手に握った『それ』と、全く同じ剣が握られていた。
おお……と、幹部たちがどよめく。裕一も呆気にとられているようだった。グレーシャも、また。
「なるほど、確かにオマエの主は、俺の後継者であるようだな、マスター」
セイバーは今度は裕一に向けていった。
「二本持っていたところで、同時に使えるモノでもない。片方はオマエが持っていろ、我がマスターの王よ」
「……は、はい」
裕一はセイバーから、触媒に使った『聖剣』……いや、最早その呼称は不十分だ。
『エクスカリバー』を、受け取った。
「さて……契約の確認も済んだ。オマエの王の正しさも証明した。次は、俺は何をすればいい、マスター」
もう一本、彼の宝具であるところのエクスカリバーを水面へと再びしまうと、グレーシャを見て問うた。ああ、そうだ。この騎士王は、サーヴァント。聖杯戦争を勝ち上がる為の、最上級の使い魔――
そう、グレーシャが思考した時だった。
「……む」
セイバーが、視線をずらした。グレーシャもそれを追う。隣で、裕一が息を呑んだ。
――ずれた。
世界がずれた。
歪んだ。
それは扉だ。歪みの扉。この世界と異なる世界へと人を誘う、世界の綻び。異世界への繋ぎ目。
「時間、だね」
裕一が言う。
あの門を通ったが最後、グレーシャは、この聖杯戦争で勝利を収めるまで、こちらの世界へは帰っ
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