MySword,MyMaster
Act-1
#2
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、強力な魔術師でない限り、イコール『死』を意味するではないか。
そんなの嫌だ。聖杯を手に入れることは大事だ。けれどそれと同時に、雪華を喪うことも堪えられない。
だから、僕たち現代円卓騎士団ひいては聖杯研究機関は、彼女に、最強の聖遺物と、最強のサーヴァントを託す。
「僕が君に与える聖遺物は、我が束家に伝わる『聖剣』。ほぼ確実に召喚されるのは、過去二度の聖杯戦争で召喚され、最後まで生き残った最優のサーヴァント――『アーサー・ペンドラゴン』だ」
僕達が選んだのは、最強を以て、王道をゆき、順当に聖杯戦争を勝ち上がる事だった。
アーサー王は、かつて東京で行われた聖杯戦争、そのどちらにもセイバーのクラスとして参戦している。加えて二回目の聖杯戦争における彼のマスターは、お世辞にも一流とは言い難い魔術師であったとされる。
そんなアーサー王を召喚することが叶えば、よほどアーサー王よりも強力な英雄…例えば、かつて世界の全てを見たという人類最古の英雄ギルガメッシュや、最強の英雄と名高いギリシアのヘラクレス、魔術と言う概念そのものをこの地にもたらした魔術王ソロモン…でもない限りは、勝ち残ってくれるだろう。勝ち残ってくれると、信じたい。
「アーサー、王……」
雪華が、その名を紡ぐ。彼女は僕の目を見据えると、ふっ、と、少しだけ笑った。美しいその表情に、心臓が凄い勢いで脈動を始める。そんな場面じゃないのに……。
「あなたと、同じ、アーサー王ですね」
「そ、その例えはちょっと良く分からないかな……確かに僕は騎士団の長だけども……」
……伝説通りなら役職的にはパーシヴァルである。いや、そのどちらにも及ばないんだけどさ。
ともかく。もう、雪華の出陣は決まってしまった。僕も覚悟を決めたから、先ほどの様に、彼女に「聖杯を僕に捧げろ」なんていう、およそ僕らしくない高圧的な命令を下したわけだし、きっと、雪華も覚悟を決めてくれたと思う。
割とこう、役職に縋った悪ふざけを繰り出しては怒られていた父さんみたいで、なんか嫌だけど……仕方がない。僕達主従には、きっとこれが一番ふさわしかった。
――時間だ。
もうすぐ、雪華の魔力が一番高まる時間。英霊の召喚に、最もふさわしい時刻となる。
「では、始めます」
僕と雪華、そして12人の老若男女様々の幹部たち達が、この日の為に召喚室として設置された個室に赴いた。
描かれた複雑な魔法陣。消去の中に退去。退去の陣を四つ刻んで、召喚の陣で囲ったそれ。――英霊召喚の魔法陣。
その中央に、黄金の剣が安置されている。大ぶりの刃と長めの柄を持ったそれこそが、束の家に伝わる『生ける聖遺物』――『聖剣』だ。
雪華の魔術回路が励起する
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