MySword,MyMaster
Act-1
#2
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られてくる。
束に伝わる聖剣が、その内のどれなのか、という確証はない。
星の聖剣エクスカリバーか。
選定の剣カリバーンか。
あるいは、王位継承権たる宝剣クラレントか。
ギリシアの大英雄から流れてきたとされる剛剣マルミアドワーズか。
いずれにせよ、その力は圧倒的で。
それゆえに、束は繁栄し、剣の時代が終わった現在にあっても、魔術協会と一線を画す活動が可能となっている。
僕や父さんには薄い感慨であるが、1998年時点では存命だった祖父は、非常にこの『アーサー王と同じ血を引く』ということに対して誇りを持っていた。現代円卓騎士団を受け継いだその時に、その真の役割を聞かされ、それに妄執ともいえる執着を見せていた。
当主となった今、僕もその役割を知っている。
――『ローエングリン』、という物語を知っているだろうか?
文章でも、リヒャルト・ワーグナーのオペラでも何でも構わない。その筋書きによれば、世界の何処かには、円卓の騎士の一人、ギャラハッド卿が手に入れた聖杯を護る為の騎士団が存在する、という筋書きで、そこからつかわされてきた騎士ローエングリンと、ドイツのとある貴族の娘との悲恋を描いた物語、なのだが。
この『世界の何処かにある騎士団』というのがキモだ。
現代円卓騎士団は、この『聖杯騎士団』の現身として創設されたのだ。団長たる円卓の騎士第二席、サー・パーシヴァルの遺志を受け継いだ、という触れ込みで。
本当なのかは分からない。
分からない、が、少なくとも正しいことに、束はアーサー王と同じ血を継いでいるし、王権の象徴となる聖剣もまた、存在する。
あとは、聖杯。それが揃えば、騎士団は『完成』する。
この現世に、『円卓の騎士』は蘇る。
――なんという、夢物語。
――なんという、時代遅れの夢想。
けれどそれがこの機関の役割であり、目的であり、存在意義。束に生まれた者の、至上命題。
故に此度の聖杯戦争、何としてでも参加しなければならない、ということになった。僕としてはわりとどうでも良かったし、12人の幹部たちも若干引き気味ではあったのだ。ここまで来るといっそのこと、役割を放棄してもいいのでは? と思えるのだが、そうは問屋がおろさなかった。
選出されたのである。
何が?
――もちろん、マスターが。
騎士団のメンバーの一人に、マスターの証である令呪が出現した。ここまで来るともう引き返せない。かつて聖杯戦争を主催・監督した聖堂教会にとっても、此度の聖杯戦争は予想外の出来事であるらしく、むしろ監督役ではなく参加者として全力を挙げるつもりだと来た。となると、マスター権を放棄する、ということは不可能になってくる。
さらに僕にとって
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