MySword,MyMaster
Act-1
#1
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去二回起きた聖杯戦争を解析し、研究し、魔術探求に生かそうとする組織――『聖杯研究機関』の一員でもある。
しかし一流ではない。むしろ三流である。幹部でもない。たしかに局長とは個人的に親しいし……というか相当親しいし、かなり特別な関係にあるが、その役職は別に偉いわけではない。
そんな自分に、何故、マスターの証が。
彼女は、それが不思議で不思議で仕方が無かった。
聞くところによれば、マスターとは、聖杯が自らに託すにふさわしい願望を持っている、と判別した魔術師から選出される者だという。
グレーシャに願望や欲望が無い、と言われれば嘘になる。だが、聖杯に託すような望みか、と言われたらそれもまた違う。
けれども。
彼女は選ばれた。選ばれてしまった。
この『架空の聖杯戦争』を戦い抜く、『架空のマスター』として。
彼女は機関の本拠地たる建造物、その一角へと向かう。意外に質素なその場所にいる人物に、用があった。
魔術師の住まう場所とは思えない、最先端のスライド式のドアの前に立つと、インターフォンを押す。
「グレーシャです。入室します」
「……ああ、グレーシャ……もうそんな時間かぁ……うん……どうぞ」
かしゅり、という音と共に開くドア。部屋の中に入ると、内部でPCの前にうつぶせに倒れた青年、一人。
「……何やってるんですか、局長」
「いやぁ、『鏡面界』の様子を少しでも観察して、先に召喚されたらしいサーヴァントの情報を掴もうと思ったんだけど……存外に難しいなぁ。僕程度の腕前じゃぁどうにもならないよ」
たははは、と笑う彼。金色の髪を揺らし、青色の瞳を瞬かせる彼は、しかし英国人などではなく日本人だ。『魔力焼け』と言われる現象によって、彼の身体は色素が薄い。
それほどまでに、圧倒的。
彼は決して、『僕程度』と名乗っていい人間ではない。
「いい加減に謙遜をやめてください、裕一。貴方はこの『騎士団』で最強・最優の魔術師……この聖杯戦争においても、マスターになりうる人間だったのに」
「いや確かに魔術回路は良いらしいけど戦闘力は……それに、マスターとしての役割は君に背負わせるはめになってしまったけどね……ごめん」
頭を下げる青年。
グレーシャは気にしてなどいない。マスターであることに、聖杯戦争の参加者であることに、疑問はいくらでも抱く。
だが、不満を抱きは、しない。
「安心してください。私は10年前から全てあなたのモノ。私を代理人だとでも思って使うことです」
「いやだからそのなんとなく重い口ぶりやめてよ……そもそも戦争孤児の君を助けたのは僕じゃなくて前局長……僕の父さんだって何度も言ってるじゃぁないか……」
「いいえ。私にとって仕えるべきは貴方です
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