MySword,MyMaster
Act-1
#1
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なサーヴァントたちを御することが可能なのか。
理由は、マスターに選出された人間の体に浮かび合がるであろう三画の紋様――『令呪』にある。
これはやはり聖杯が、その力の一端で以て顕現させた、サーヴァントへの絶対命令権である。これを使用することで、原則としてどんな命令でもサーヴァントにきかせることが可能となる。サーヴァントは基本的に是に逆らうことは出来ない。
加えて、いかな聖杯がサーヴァントを形成しているといえど、サーヴァントはこの世ならざる英雄の現身。現世にとどまるためには楔が必要だ。マスターと令呪はその役割を兼ねる。マスターの死は、サーヴァントの消滅につながる場合が多い。
故に、いかに強暴なサーヴァントであれど、原則としてマスターに逆らうことは無い。
もちろん例外はある。令呪で縛られるくらいならば、己の願いを捨てるというプライドの高いサーヴァントもいるだろうし、その場合はマスターが令呪を使用する前に殺されてしまえばそれまでである。令呪の効力が現れないほどに強力なサーヴァントもまた、恐らくは存在するだろう。
さらに最初はサーヴァントとの関係が良好でも、その令呪による命令によって袂を分かつ、ということもあり得なくはないのだ。
心せよ。
この聖杯戦争において最も重要となるのは、敵味方どちらにおいても、マスターとサーヴァントである、と。
2:過去に二度行われた聖杯戦争について――――
***
「……ふぅ」
小さく息をつく。これでこのページを読んだ回数は四百二十三――この後の記録についても、ほぼ同数回目を通している。
氷室雪華=グレーシャ・スノードロップは、『聖杯戦争についての解説』と題されたノートを畳むと、傍らに置いた黒い鞄にそれを入れる。いかめしいその外観は、少し、気に入らない。
黒い女物のスーツは、18歳の自分には似合わない、とグレーシャは思っていた。実際の所、黒髪に氷のような青い瞳の、極めて整った容姿の彼女には、そのスーツは若いOLの様な姿として、非常によく似合っていたのだが、自己の外見評価が低い彼女にとって、その発想は無かった。
それに。
この先、そんなことを気にしてもいられない。
彼女は、自らの胸元に視線を落とす。つつましやかでも、さりとて発育過剰でもない、何ともいえない胸部装甲に関しては今はどうでもいい。問題は、その谷間に出現した、黒い刺青のような紋様だ。
天使の翼をかたどったそれは、今しがた読んでいたノートにも書かれていた、サーヴァントへの絶対命令権。マスターの証にして、聖杯戦争に参加するための切符――令呪だ。
彼女にとって、それが自分に顕現することは、意外にして想定外のことだった。
確かに彼女は魔術師だ。過
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