Act-0
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い。
果たしてこの二人の場合も、例外ではない。
ランサーの構えた槍が、ガシャリ、と音を立てて変形した。巨大な穂先の下部が、まるで蕾を開いた花の様に解き放たれ、反転し、茨のような棘と化す。
アーチャーの背後の揺らぎから、彼女が構えているのと同じ形の長弓が無数にその矢を覗かせる。
「撃てば一撃――ここで貴様を仕留める」
「それはこちらの台詞。こんな序盤に、他の参加者たちに弱点を見せるわけにはいきませんわ」
そして黄金の輝きが、両者の宝具を包み込んだ。
真名、開放。
宝具の本来の力が、
「――『破り喰らう」
「――『一掃せよ」
その名と共に、開放され――――
「オォオオオオォォォオオオオオオ!!!!」
「ム……!」
「!?」
しかしその『奇跡のぶつかり合い』は、獣のような叫びと共に、柱の上へと落下してきた『何者か』によって、中断させられた。真名開放を取りやめる二基。互いの間に現れた、新たなる闖入者に焦点を絞る。
――それは、『騎士』だった。
蒼銀の騎士。
竜か悪魔を模したと思しき、角のついた全面兜。
傷つき、錆が浮き、どこか遺跡の様にも思える、しかしそれでも輝きを失っていない、細身の鎧。
ゆらり、と立ち上がったその騎士は、右手に、黄金の剣を持っていた。
「セイバーのサーヴァント……!」
「来たか、『騎士王』……!」
アーチャーとランサーが、各々の反応を見せる。アーチャーは忌々しげに、しかしどこか憧憬を覚えた表情で蒼銀の騎士を凝視し、ランサーは先ほどまでと勝るとも劣らぬ歓喜の笑みを浮かべた。
「……」
『騎士王』、と呼ばれた蒼銀――セイバーのサーヴァントは、右手の黄金の剣を、立ち上がった時と同じように、ゆらり、とした動作で構えた。
その姿、どこか、亡霊の様。
しかしてその身が放つ威圧、まさしく、『王』の気配。
ばん。
空気が爆発する。
セイバーが大地を蹴ったのだ。おぞましい、とさえ形容できる、信じがたい速度で、いつの間にか彼は黒い乙女の背後に居た。
「なっ……」
「……」
ふっ、という呼吸音。黄金の剣が断頭台の刃と化す。かすむような速さで振るわれたその刀身が、アーチャーの首を落とす直前。彼女はサーベルを自らと黄金剣の間に噛ませて、滑るように『騎士王』の背後に移動、そのまま距離を取った。
「ちっ……」
可愛らしいとさえ言える、この戦場には相応しくない舌打ち。しかしその中に込められた忌々しさは、その可愛
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