182部分:バルドの旗の下にその五
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バルドの旗の下にその五
解放軍はほぼ全軍をもってペルルークへ進軍をはじめた。その進撃は大河の如くであり一糸の乱れも無かった。
「むっ!?」
前軍の先頭にいたトリスタンが前に旗を掲げる一団を認めた。その旗は白旗だった。
「どうします?帝国のことです、罠かもしれませんよ」
騎士の一人がトリスタンに耳打ちした。トリスタンも顎に手を当てて考えた。
「そうだな・・・・・・。ブリアン殿に話してみるか」
前軍の指揮を執るブリアンは即断した。一団に自分達の下に来るよう言った。
「成程な。それならたとえ罠を仕掛けていても何も出来ない」
かくして白旗の一団は解放軍前軍の中に入った。そしてブリアン達と会った。
その者達は言った。自分達はシレジア解放軍の者でありセリス皇子達に会いたい者がいると。
それはすぐ本陣のセリスにも伝えられた。セリスは思わず首を傾げた。
「僕に?何だろう」
「ここは会ってみるべきでしょう。シレジア解放軍はかってシグルド様と共に戦った者達を中心とし反帝国を掲げる言うならば我等の同志、彼等の協力が得られれば非常に頼もしいです」
「そうだね、そうしよう」
セリスはオイフェの言葉を採り入れた。その者達と会うべく彼は諸将と共に自軍の前に来た。
前から五人の人影が近付いて来る。彼等の姿を見た時オイフェとシャナン、フィン、そしてスカサハとラクチェはアッと息を呑んだ。レヴィンも誰も気付かなかったがその整った眉をピクリ、と動かした。
彼等のうち二人はペルルーク城の戦いで活躍した二人の剣士だった。後の三人はどうやら騎士のようである。
一人は金髪に青い瞳を持った赤い鎧の男であり全体的に精悍で激しい感じがする。二人目は長い深緑の髪を布でまとめた緑の瞳の男で緑の鎧を身に着けている。こちらは先の赤い鎧の男に比べて軽い、それでいて知的な印象である。最後の一人は岩山の如き身体を青い鎧に包んだ薄緑の髪に黒い瞳の大男であった。五人の中で最も体格が良い。
「ノィッシュ、アレク、アーダン・・・・・・」
普段の沈着さは何処へ行ったのかオイフェは思わず馬から飛び降り三人の方へ駆け出した。そして四人はヒシッ、と抱き合った。
「久し振りだなオイフェ。リューベック以来か」
ノィッシュと呼ばれた金髪の騎士が顔を崩して笑った。
「あれから十七年、まさか再び会える日が来るなんてな」
緑髪のアレクも笑っている。
「しかしオイフェも変わったな。背も大きくなったが老け込んだんじゃないか」
「髭も生えたしな」
「俺達なんか全然変わらないのにな」
「止めてくれよ、歳の事を言うのは」
大男アーダンの言葉に突っ込みを入れたノィッシュとアレクにオイフェが反論した。
「父様、母様・・・・・・!」
スカサハとラクチェが二人の剣士に走
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