ありゃ?迷っちゃった。
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まった頃合いを見計らい、男は静かに口を開く。
「おまえたち、なぜだかわからんか。わからんことこそが、不合格が不合格たる所以なのだと理解するが良い」
「でも、俺まだ何もしてないッスよ!それで不合格って言うのはちょっと…」
「ふん。ならばおまえらにでも分かるように説明して進ぜよう。この紙を受付で貰ったな?」
男がぴらりと懐から出したものは、あの「注意事項」の紙だった。
「貰いました。それが何か…」
「うつけが。この紙は特別製でな。霊力によく反応するようにできている。もし貴様らが審神者に任ずらるれば、本丸を自らの霊力のみで保持し続けなければならん。やることは勿論それだけではない。相対するは曲がりなりにも神なのだぞ。その神気に喰われない力、時間遡行軍と戦う力…すべて己が霊力のみが頼りとなる。その最低限度を越えし霊力を持つものだけに、正しい言葉が焼き上がる。合格者は、その言葉に従い、既にこの部屋では無く、別の部屋に向かっているのだ。この中に、その文字が見えたものはいるか?いたら文字の色を申告して見ろ。誰かいないのか?是も無い。悪いことは言わない、おまえたちには才がない。やめておけ。その若さで命を無駄にすることもあるまい。今回は不作だ。誰一人合格者が…なに?」
そんなご高説ぶっている男に慌てて駆け寄る小柄な白い狩衣姿の若い子…。男は邪魔されて不愉快そうに子供に耳を寄せたが、その目がみるみる驚愕に見開かれてゆく。
「なに、金、だと!?いるのか、今の時代にそんな人間が!はぁ、しかも逃げた?どこにもいない?たわけが!何をしている!いないのなら探せ!絶ッ対に逃がすな!」
あ、なんかよくわかんないけど不味い気がする…。はやくどっか行った方が良いかも…。まさかまさか、あたしのことじゃないとは思うけど…。あたしは入り口で貰った紙、金に光る文字が浮き出た紙をくしゃくしゃペッとバレないようにそこら辺に捨てた。
「霊力探知機をこれへ!急げ!」
「持ってきま、うわッ!」
バリーン、バラバラバラ…と、『霊力探知機』なるものが粉々に砕ける。
「…」
「壊れた…だと?」
呆然と呟く男だが、立ち直りもはやかった。
「入り口を封鎖しろ!ネズミ一匹逃がすな!チッ、測定器が壊れるなどと聞いたこともない…!」
男は青筋が浮かんだ額で部屋中をぐるりと見渡した。ギンと睨み付けられた一人が恐慌状態に陥って、部屋から出ようとした。好機!
「え、う、うわあぁあ!」
「ふ、封鎖って何よぉ!」
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