ありゃ?迷っちゃった。
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ている!なんなのここは!?
怪しさにダッシュで逃げだそうとしたらぐいと襟首を掴まれて引き戻された。
「おいおいここまできて怖じ気づいたのか?そんな着物まで着てきて…気合い十分じゃ無いか。受かると良いな。ほら」
そして無理矢理紙を握らされた。それはあたしをここに連れてきた男とは違う男だったが、同じように白い狩衣を纏っていた。…どっかでこの白い衣流行ってンのかしら…?とりあえず渡された紙に目を落とすと、はっきりした文字で『注意事項』と書いてある。
『注意事項
一つ、決して真名を知られてはならない。
一つ、任期が終了するまではもとの家に帰ること罷り成らず
一つ、以上のことが守られなかった場合に生じるいかなる事に於いても政府は責任を負わない』
その文字がやたらと上詰まりで書かれていた。つまり紙の下半分は空白だ。この紙を作った人はヘタクソだな〜と思っていたら、その空白の部分にじわりと何かシミのようなものが滲んだ。
「…?」
じっと見つめていると、そのシミはあぶり出しのようにみるみる大きくなり、そしてついに金に光る文字になった。
『合格
右ノ部屋ニ入リ刀ヲトレ』
えっ?いやあたしは帰ります。
あたしはぺかーっと光る紙を見なかったことにして懐にねじ込んだ。
ちらりとみると紙で指定された右の部屋に向かうものなど誰もいない。皆何故か反対の左の部屋に入っていく。そして入ってきた入り口にはがしゃりと鍵がかけられたようだった。出れない。し、見張りみたいな人がいるのでヘンな行動も出来ない…。厄介なことになっちゃったなぁ、と思ったけど、とりあえずはこの流れに乗っておこうとあたしは人混みに押されつつ左の部屋の中に入った。
押し込まれた部屋もかなりの広さだった。二十畳はあろうかというところにぎっちりヘンな格好をした人たちが所狭しと座っている。年の差はあれど、みんな結構若い…。二十歳越えたぐらいでは無かろうか。まぁ、ダントツ若いあたしが言うのもナンだけどさ。
すると「静まれ、静まれ!」という声と共にまたあの白い狩衣着た男が出てきた。
「合否を発表する!」
と、男が高らかに宣言した途端、場がざわついた。皆一様に驚き緊張した顔になる。しかしその戸惑いに構うこと無く、白銀の髪をした男は言った。
「ここにいるもの、皆、不合格!」
ええーっ!と声が上がった。それもひとつふたつではない。部屋中の不満が渦を巻いて男に向く。しかし男は仁王(におう)と立ったまま、腕組みしてそれを黙と受け流す。一頻り喧騒が収
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