第三十二話 太子の焦燥その十一
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「貴女達は三人ですが」
「お姉様は」
「一人です、一人のままです」
「生きられて」
「死にます、ですが出来れば」
顔をゆっくりと上げてだ、マリーの目を見て言ったのだった。
「最後の審判の後は」
「その後は」
「共にいたいですね」
「四人で」
「そう思います、ですが」
「それでもですか」
「それは最後の審判の後です」
そうなるというのだ。
「その時からです」
「そうですか」
「ですから今は」
「お一人で」
「います」
「そうされますか」
「そして私に何かあれば」
それからのこともだ、マイラはあえてマリーに言った。
「この国のことをお願いします」
「この国を」
「はい」
その通りというのだった。
「貴女が王を助けてです」
「そのうえで」
「導いて下さい」
こう妹に言うのだった。
「貴女なら出来ます」
「だからですか」
「はい、私はそう信じています」
思うのではなく、というのだ。
「むしろ私よりも」
「それは」
「いえ、このことは昔から実は」
それこそというのだ。
「わかっていました、ですが」
「それでもですか」
「はい、認められませんでした」
他ならぬマイラ自身がというのだ。
「どうしても」
「そうだったのですか」
「貴女自身を見られませんでした」
「私をですか」
「あえて言います、貴女は正室のお子です」
このことをだ、マイラは今妹に言った。
「そして私は側室の子」
「それは」
「言うことはないとですか」
「そう思いますが」
「事実です」
紛れもないだ、それだというのだ。
「そして私は旧教徒であり」
「私は新教徒ですか」
「貴女にはセーラとマリアがいて私にはいなかった、いえ」
マイラは自分自身のことをさらに話した。
「貴女達の中に入ろうとしなかった」
「そうも言われますか」
「入る資格がないと思っていました」
こうマリーに言った。
「側室の子、そして旧教徒であるが故に」
「その二つのことは」
「気にすることはなかったというのですね」
「私はそう思っていましたし」
「今もですね」
「同じです」
この考えはというのだ。
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